1986 年 28 巻 8 号 p. 1888-1893_1
患者は48歳,女性.黒色便,貧血を主訴に来院した.低緊張性十二指腸造影にて,第2部はやや拡張し,第3部は著しく拡張し,第3部にピンポン玉大の腫瘤を認めた.腫瘤はbridging foldを有していた.十二指腸内視鏡にて,腫瘤の表面は地図状びらん面を形成し,また中央には深い切れこみを有していた.その切れこみより胆汁の流出を認めた.十二指腸乳頭部の粘膜下腫瘍の診断で手術を施行した.腫瘤摘出術,括約筋形成術,胆嚢摘出術がなされた.病理組織学的所見より,Gangliocytic paragangliomaと診断された.