日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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Strip biopsyに合併するヒト人工胃潰瘍のH2ブロッカーを用いた治癒経過
柳井 秀雄多田 正弘苅田 幹夫松田 和也岡 紳爾嶋田 正勝重枝 正樹川野 博章水町 宗治大谷 達夫藤村 寛Shoiti SUZUKI岡崎 幸紀竹本 忠良
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1986 年 28 巻 9 号 p. 2021-2027_1

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抄録
Strip biopsyによる内視鏡的胃粘膜切除後には,その切除創として,手技の特性にもとずきU1-IIの人工的な胃潰瘍が形成される.Strip biopiy局所で腫瘍性病変が完全に切除された場合,この人工潰瘍は潰瘍慢性化素因をもたないヒト正常胃粘膜の再生にしたがって治癒する.このたび高齢者の幽門腺領域における腫瘍性病変Strip biopsy後人工潰瘍11病変の治癒経過を検討したが,これらはH2ブロッカー療法により4週前後で治癒した.局所の幽門洞胃炎の程度は治癒速度に影響を与えず,5週目以降に治癒した潰瘍は4週までに治癒したものよりも大きかった.さらに対象の27%に腺窩上皮の過形成による隆起型潰瘍瘢痕がみられた. ヒト臨床例での潰瘍治癒過程を検討する上で,潰瘍発生・慢性化素因を持たない部位の潰瘍は,潰瘍治癒過程の正常対照あるいは急性潰瘍モデルの一つとして興味深いと思われる.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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