日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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上部消化管狭窄に対するバルーン拡張術の評価
西村 和彦中島 正継藤本 荘太郎今岡 渉吉田 俊一安田 健治朗小林 正夫趙 栄済向井 秀一清田 啓介木本 邦彦吉中 正人山口 勝通
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1986 年 28 巻 9 号 p. 2011-2019_1

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抄録
 各種の上部消化管狭窄に対する新しい非手術的拡張術として,バルーンカテーテルによる方法を検討した.使用器具は米国Microvasive社製の上部消化管用Rigiflex balloon dilatorで,拡張方法は内視鏡下に狭窄部を通してガイドワイヤーを留置し,そのガイドワイヤーを介してballoon dilatorを透視下に挿入して狭窄部を拡張させるものである.対象は各種の原発性狭窄10例(食道潰瘍瘢痕2例,アカラジア3例,食道癌2例,胃噴門癌3例),および各種疾患の術後吻合部狭窄11例(食道癌術後7例,胃癌術後4例)の計21例で,全例において何らの問題とすべき合併症もなく充分な拡張効果が認められた.本法は特別な手技を必要とせずに容易に行え,拡張力は狭窄部に対して横(水平)方向のみに加わるために比較的安全であり,狭窄の部位,程度,長さに関係なく応用できる優れた方法として評価できる.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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