日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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28 巻, 9 号
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  • 嶋倉 勝秀
    1986 年 28 巻 9 号 p. 1971-1982
    発行日: 1986/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     悪性胆道狭窄症例に対するERBDの適応,有効性および長期維持管理方法につき検討した. 種々の悪性胆道狭窄症例198例中18例(9.1%)はERCPを施行した時点でERBD不適応とされ,180例中155例(86.1%)にERBDに成功し,142例に有効であった.全悪性胆道狭窄症例の78.3%にERBDが可能で,71.7%に有効であった.ERBD施行後の早期合併症発生率は12.8%であったが,重篤な合併症は1例もなく,ERBDは比較的安全に施行しうる非観血的胆道ドレナージ法と考えられた.後期合併症としてはチューブの閉塞,胆道感染が高率であったが,胆道感染により死亡する症例もみられたため,胆道感染合併時には迅速に対処することが必要と考えられる.10Frチューブの有効期間は154±69日であったが,12Frチューブでも有効期間は延長するとは限らないため,ERBDを長期間維持するためには,チューブの材質,有効径の検討とともに維持管理療法がいっそう重要と考えられる. 悪性疾患に対するERBDの適応に関しては,ERCP,EPTが施行しうるすべての閉塞性黄疸症例,および切除不能で発黄前の胆管狭窄の高度な症例においては予防的ERBDが適応になると考えられるが,肝門部胆管狭窄症例や胆嚢管に狭窄を有する症例では胆道感染の合併率が高いため,その点を十分考慮してERBDを施行する必要がある.
  • 河原 弘規
    1986 年 28 巻 9 号 p. 1983-1991
    発行日: 1986/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    肝表面の凹凸不整は,肝線維化による要素が強いと考え,肝生検によって得られた組織切片を,コンピューターによって,膠原線維成分の画像処理を行ない,膠原線維面積%を表わす事によって数量化し,組織学的所見及び腹腔鏡による肉眼的所見との関連性を検討した.1981年より1985年までに行なわれた,腹腔鏡による肝生検88例の組織切片に,アニリン青単染色を行ない,これをコンピューターにかけ,画像処理を行ない,膠原線維の面積を百分率で表わし,膠原線維面積%とした.膠原線維面積%は,慢性肝炎では,7.02±3.45%,肝硬変では,13.78±5.16%であった.また,同一症例80例について,肝表面肉眼所見を,杏林大学第3内科分類を,使って分類し,各々の膠原線維面積%を表わすとI表面平滑2.99±0.01%,IIa軽度不整6.12±2.24%,IIb中等度不整9.95±4.08%,IIc高度不整10.41±5.97%,IIIa丘状結節14.46±6.01%,IIIb半球状結節13.61±3.12%であった.肝組織内膠原線面積%は,肝表面の凹凸不整の進行に伴い増加する傾向にあり,客観的に,線維化の程度を示すのに有効であると考えられた.
  • ―第2報:膵癌における有用性―
    内海 真, 鈴木 安名, 岡野 重幸, 武藤 英二, 武田 章三, 神田 誠, 山崎 裕之, 相馬 光宏, 池 薫, 高井 幸裕, 岡村 毅 ...
    1986 年 28 巻 9 号 p. 1992-1998
    発行日: 1986/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     われわれは,1983年から内視鏡的膵生検(Endoscopic Pancreatic Biopsy:EPB)を試み,その基礎的・臨床的検討結果を既に発表してきた.今回は,特に膵癌に対するEPBの有用性を臨床例につき検討したので報告する.対象は,過去2年間に経験した膵頭部癌10例,膵体尾部癌3例の計13例で,既報のように,十二指腸内視鏡を用い,内視鏡的乳頭切開術を施行することなく,乳頭開口部から主膵管に生検鉗子を挿入し,透視下にEPBを施行した.EPBを施行した膵癌13例中,癌組織が陽性だった例は,頭部癌10例中6例,体尾部癌3例中2例の計8例で,その陽性率は,61.5%である.癌陰性の理由としては,鉗子の挿入が不確実であったり,不充分なため満足すべき組織片が得られなかったことが考えられる.EPBは,ERCPと同時に行いうるし,今までのところ特別な合併症もなく,手技も比較的安全容易である.今後,その陽性率の向上も期待できることから,膵癌を疑う症例には,積極的に施行してよい方法と考える.
  • 苅田 幹夫, 多田 正弘, 柳井 秀雄, 坂井 田功, 重枝 正樹, 松田 和也, 川野 博章, 岡崎 幸紀, 竹本 忠良
    1986 年 28 巻 9 号 p. 1999-2002_1
    発行日: 1986/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     われわれは,現在strip biopsyにより小胃癌病巣の切除および,癌の深達度診断等を行っているが,今回strip biopsyにより切除された胃癌8症例,異型上皮巣5症例,および,胃切除された胃癌12症例等について,Flow cytometer (FACSIIIおよびFACSanalyzer,いずれもBecton Dickison Co.)を用い,DNA量の測定を行った.そのうち,胃癌症例20例中11例にaneuploidyの出現をみとめた.また分化度の高い胃癌では,低分化型胃癌に比べて,aneuploidyの出現頻度が高いという結果が得られた.また,組織学的診断がGroupIIIの症例が,Flow cytometerによるDNA量測定によりaneuploidyを示し,その内視鏡像と合わせて,興味深い1症例となった.
  • 加藤 修, 杉原 真, 服部 和彦
    1986 年 28 巻 9 号 p. 2003-2009_1
    発行日: 1986/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     食道疾患はある程度の大きさと凹凸変化を有するものでない限り,ルーチンのX線検査にて異常を指摘することはしばしば困難で,しかも該病巣そのものによる症状を欠落するものが多いように感じられた.そこで,昭和55年1月より60年3月までの6年3カ月間に,当院にて施行したのべPanendoscopy5,598件中,上部消化管手術後のものと緊急もしくは早期内視鏡を除いたもので,食道粘膜よりの生検を要した各種食道疾患73例を対象に,特に食道症状の有無を中心に検討した.進行食道癌は8例すべてに病巣由来の症状を認めたが,早期もしくは表在癌6例では,1例(16.7%)に胸骨後痛がみられたに過ぎなかった.逆流性食道炎21例中,有症状のものは6例(28.6%)で,5例が胸やけ,1例が食道つかえ感であった.食道潰瘍3例はすべてに症状がみられ,2例が嚥下痛,1例が胸やけであった.びらん5例中では1例(20.0%)に胸やけを認めた.これは,表在びらん型早期食道癌に無症状のものが多いことを示唆している.隆起病変としてはポリープ12例,非上皮性腫瘍4例を数えたが,ポリープの1例(8.3%)にかろうじて軽度のつかえ感がみられたのみで,その他には食道症状を認めず,この事実は,表在隆起型早期癌も無症状のものが多いと考慮された.その他の疾患では,モニリア症2例中1例のみに軽度嚥下痛をみた以外,glycogenicac anthosis7例,食道粘膜橋1例,黄色腫1例,粘膜粗慥のため生検を要した3例には食道症状を認めなかった.以上の如く,進行食道癌や食道潰瘍は100%有症状であったが,他の普遍的な食道疾患に病巣由来の症状をみることは低率であった.即ち,上部消化管検索に対するPanendos-copyのルーチン化に伴う食道内視鏡検査の有用性が,今回の検討の結果,改めて評価し得た.
  • 西村 和彦, 中島 正継, 藤本 荘太郎, 今岡 渉, 吉田 俊一, 安田 健治朗, 小林 正夫, 趙 栄済, 向井 秀一, 清田 啓介, ...
    1986 年 28 巻 9 号 p. 2011-2019_1
    発行日: 1986/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     各種の上部消化管狭窄に対する新しい非手術的拡張術として,バルーンカテーテルによる方法を検討した.使用器具は米国Microvasive社製の上部消化管用Rigiflex balloon dilatorで,拡張方法は内視鏡下に狭窄部を通してガイドワイヤーを留置し,そのガイドワイヤーを介してballoon dilatorを透視下に挿入して狭窄部を拡張させるものである.対象は各種の原発性狭窄10例(食道潰瘍瘢痕2例,アカラジア3例,食道癌2例,胃噴門癌3例),および各種疾患の術後吻合部狭窄11例(食道癌術後7例,胃癌術後4例)の計21例で,全例において何らの問題とすべき合併症もなく充分な拡張効果が認められた.本法は特別な手技を必要とせずに容易に行え,拡張力は狭窄部に対して横(水平)方向のみに加わるために比較的安全であり,狭窄の部位,程度,長さに関係なく応用できる優れた方法として評価できる.
  • 柳井 秀雄, 多田 正弘, 苅田 幹夫, 松田 和也, 岡 紳爾, 嶋田 正勝, 重枝 正樹, 川野 博章, 水町 宗治, 大谷 達夫, 藤 ...
    1986 年 28 巻 9 号 p. 2021-2027_1
    発行日: 1986/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    Strip biopsyによる内視鏡的胃粘膜切除後には,その切除創として,手技の特性にもとずきU1-IIの人工的な胃潰瘍が形成される.Strip biopiy局所で腫瘍性病変が完全に切除された場合,この人工潰瘍は潰瘍慢性化素因をもたないヒト正常胃粘膜の再生にしたがって治癒する.このたび高齢者の幽門腺領域における腫瘍性病変Strip biopsy後人工潰瘍11病変の治癒経過を検討したが,これらはH2ブロッカー療法により4週前後で治癒した.局所の幽門洞胃炎の程度は治癒速度に影響を与えず,5週目以降に治癒した潰瘍は4週までに治癒したものよりも大きかった.さらに対象の27%に腺窩上皮の過形成による隆起型潰瘍瘢痕がみられた. ヒト臨床例での潰瘍治癒過程を検討する上で,潰瘍発生・慢性化素因を持たない部位の潰瘍は,潰瘍治癒過程の正常対照あるいは急性潰瘍モデルの一つとして興味深いと思われる.
  • 石垣 宏, 佐々木 大輔, 吉田 豊, 大垣 博隆, 高木 伸也, 相沢 道郎, 奈良 秀八洲
    1986 年 28 巻 9 号 p. 2028-2034
    発行日: 1986/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     原発性肝癌15例に経カテーテル的肝動脈塞栓術(TAE)と11例に抗癌剤の肝動脈内注入療法(動注)を施行し,その前後の上部消化管内視鏡所見を比較検討した.TAE・動注前にあった胃・十二指腸潰瘍は,TAE・動注後悪化することはなかった.動注後に比しTAE後に胃・十二指腸病変及び臨床症状が多く出現し,TAEのほうがより侵襲が大きいといえた.TAE後15日目以降に内視鏡を施行した例で潰瘍の出現していることが多かった.TAEに抗癌剤を併用する化学塞栓療法を施行した症例は,胃・十二指腸病変の出現率が高かった.TAE・動注前からCimetidineを投与していても,胃・十二指腸のビラン・発赤が出現した.原発性肝癌の動注よりもTAEの際には,特に化学塞栓療法の際には,胃・十二指腸病変への配慮が必要といえた.
  • 草間 次郎, 飯田 太
    1986 年 28 巻 9 号 p. 2035-2039_1
    発行日: 1986/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     細径直視鏡を使用して上部消化器症状を訴える患者の十二指腸を観察した.十二指腸球部から下行脚にかけて不整形の白苔や一部に壊死病変を伴ったビランを観察し,これを急性十二指腸粘膜病変として,その32例について臨床的検討を行った.本症は治療により,ビランは急速に治癒に向い,1週間以内に瘢痕を残すことなく消失する.年齢は10歳代から70歳代までに発症し,とくに中高年齢層に多く,性別では男性が圧倒的に多かった.主訴は突発的な心窩部痛が多く,ついで悪心・嘔吐,心窩部不快感等であり,吐血・下血例は少なかった.発症の誘因としては薬剤,とくに消炎鎮痛剤が多かった.胃液検査を行った15例には酸分泌の亢進が認められた.併存疾患としては急性胃粘膜病変,ビラン性胃炎,急性胃潰瘍,胃ポリープ等が認められたが,ポリープ以外はすべて軽度で,十二指腸病変の消失とともに治癒した.
  • 重本 達弘, 荒川 哲男, 大川 清孝, 鎌田 悌輔, 小野 時雄, 管 保夫, 宮城 邦栄, 森本 譲, 小林 絢三
    1986 年 28 巻 9 号 p. 2040-2045_1
    発行日: 1986/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     魚骨により食道穿孔をきたしたが,内視鏡的魚骨除去にひきつづく保存的療法にて治療にいたった症例を経験した.症例は,61歳の女性で,カレイ摂食後の心窩部痛,嚥下時前胸部痛を主訴として来院した.魚骨嚥下を疑い,内視鏡検査施行したところ,門歯より30cmの部位に魚骨の両端が食道の前後壁に穿刺固定されているのが観察された.有釣生検鉗子及び把持鉗子を利用し,内視鏡的に除去しえた.魚骨は前壁側で穿通しており,造影にて食道周囲膿瘍が確認された.全身状態は,比較的良好で膿胸,気胸などの重篤な合併症もなかったため,絶食・高カロリー輸液,抗生剤投与などの保存的療法を施行し,治癒せしめることができた.異物による食道穿孔の報告は比較的少ないが,発見の遅れにより重篤な合併症を招くことが多い.本症例は,異物の早期の内視鏡的除去が効を奏した1症例と考えられた.
  • 三宅 周, 岩野 瑛二, 佐々木 俊輔, 丸谷 盛雄, 渡辺 博史, 重本 英司, 安原 高士, 河野 宏, 荒木 文雄
    1986 年 28 巻 9 号 p. 2047-2051_1
    発行日: 1986/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     食道潰瘍を合併したべーチェット病の1例を経験したので報告する. 患者は59歳の男性で,1985年1月に胸骨後部痛,背部痛,口内炎,発熱,えん下痛をみとめた.抗潰瘍剤による治療にもかかわらず,潰瘍および自覚症の増悪をみたために5月に当院に入院となった. 入院時検査では,血液および生化学的に炎症所見をみとめた.内視鏡検査では,下部食道に内形の潰瘍を数コみとめ,生検組織では,肉芽組織の形成と炎症性細胞の浸潤をみとめた.口内炎,慢性葡萄膜炎,消化管病変などの存在により,べーチェット病不全型と診断した.5月より抗生物質抵抗性の発熱が出現したが,ステロイド剤投与により著効を示した.内視鏡検査でも食道潰瘍は消失し,8月に退院した. べーチェット病が上部消化管に病変をもつことは極めて少なく,食道病変を有するものは26例(内11例は食道に限局)報告されているにすぎないので,稀な症例と考えられた.
  • 酒井 健二, 小山田 千秋, 三澤 正
    1986 年 28 巻 9 号 p. 2052-2055_1
    発行日: 1986/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     近年抗生物質に起因する薬剤性食道潰瘍の報告は多数みられるが,多くはドキシサイクリンによるものであり,合成ペニシリン系による報告は少ない.症例は28歳の男性で頻尿のため就寝前に塩酸ピブメシリナム(以下PMPCと略す)錠を服用し,翌朝胸骨後部痛が出現した.食道内視鏡検査では,食道中部に大小円形の多発性潰瘍を認めた.安静,食餌療法及び薬物治療により第32病日に狭窄を残すことなく瘢痕化した.PMPCによる薬剤性食道潰瘍の報告は本症例が2例目と考えられ,若干の文献的考察を加え報告した.
  • 毛 克弘, 杉本 元信, 佐伯 日出貴, 島田 長樹, 水上 啓, 吉田 直哉, 相川 勝則, 定本 貴明, 住野 泰清, 伊東 高仁, 安 ...
    1986 年 28 巻 9 号 p. 2057-2061_1
    発行日: 1986/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は34歳男性.肝機能異常精査のため入院.飲酒歴なし.身長157.5cm.体重55kg.肝を右季肋下に2横指触知.GOT42U,GPT85U,γ-GTP 108U,糖負荷試験で糖尿病型.腹部超音波検査は脂肪肝を示し,CT検査は左葉と右葉前区域の限局性脂肪肝の所見を呈した.腹腔鏡検査では,肝は腫大,可視範囲は一様に平滑,黄白調.拡大像では豹紋状紋理が観察され,Indocyanine green(ICG)200mg静注後には肝小葉紋理がより明瞭となり,中心静脈域に淡い染色を認めた.肝生検組織像は門脈域周辺を除き著明な大滴性脂肪沈着を示し,腹腔鏡所見と一致した.ICG染色法と拡大腹腔鏡の併用は.本例の肝表面像の解析に極めて有用であった.
  • 池 薫, 奥山 修児, 長嶋 知明, 柴田 好, 武藤 英二, 武田 章三, 三好 幸宣, 上田 則行, 並木 正義
    1986 年 28 巻 9 号 p. 2062-2067
    発行日: 1986/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     今回,われわれは膵管胆道合流異常を伴った胆嚢adenomyomatosisの1例を経験したので報告する.患者は35歳の主婦で,昭和58年3月頃から特に誘因なく時々右季肋部から背部へかけての鈍痛が出現したので当院を受診した.ERCPで胆嚢内腔外縁に斑点状陰影がほぼ全周にわたってみられ,胆嚢adenomyomatosisと診断した.更に,25mmの共通管を有する膵管胆道合流異常が認められた.腹部超音波検査及び腹部CTscanでは胆嚢壁は全周性に著明に肥厚しており,小結石も認められた.このため,胆嚢摘出術を施行した.術中測定した胆嚢内胆汁中のアミラーゼ値は18,060 SU/dlであった.摘出胆嚢は組織学的に腺管増生と平滑筋細胞の束状走行を呈する増生を示した.これらのことから,膵管胆道合流異常による胆嚢内圧の上昇及び炎症性慢性刺激が胆嚢内で繰り返されたことが胆嚢adenomyomatosisの病因となった可能性も考えられた.
  • 池田 英雄, 松隈 則人, 権藤 和久, 古賀 聖祥, 鴨井 三朗, 井上 林太郎, 日高 令一郎, 酒井 輝文, 上田 隆, 池園 洋, ...
    1986 年 28 巻 9 号 p. 2068-2073_1
    発行日: 1986/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     アミロイドーシスは予後不良の疾患である.今回われわれはIVH, Dimethylsulphoxide(DMSO)併用により消化管病変が経過中に改善を示した比較的まれな症例を経験した.症例は32歳女性,下痢,体重減少を主訴として来院,消化管よりの生検にてアミロイドーシスの沈着を認め,慢性関節リュウマチもあり,二次性アミロイドーシスと診断した.IVHに加えてDMSO塗布により,小腸,大腸X線所見および内視鏡所見の改善を認めた.また生検ではあるがアミロイドの沈着も減少した.
  • 伊藤 重二, 青木 幸平, 三浦 正博, 中川 公三, 渡辺 国重, 中泉 治雄, 寺畑 信太郎
    1986 年 28 巻 9 号 p. 2074-2083
    発行日: 1986/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は72歳男性で,右季肋部痛を主訴に来院.胆石症,胆嚢炎の診断で入院加療した.しかし,右季肋部不快感がとれないため,上部消化管X線検査を行い,十二指腸下行脚に隆起性病変を発見した.内視鏡所見では,十二指腸乳頭開口部の口側約2cmに,卵円形亜有茎性腫瘤を認めた.表面はやや黄色調を呈し,平滑でびらんや潰瘍は無く,bridging-foldも認め,粘膜下腫瘍と考えた.腹部CTでは平均-23のCT値で,脂肪を含むと考えられた.組織診断と治療の目的で高周波による内視鏡的摘除を行った.切除時特に合併症は無く,回収も容易に行い得た.切除標本の大きさは15×15×18mmで,病理組織学的には,良性粘膜下脂肪腫であった.その後愁訴は軽快した. 十二指腸脂肪腫の本邦報告例は,調べ得た範囲で,自験例を含め41例で,うち13例が内視鏡的に摘除されている.報告例の約半数が有茎または亜有茎性であり,今後も内視鏡的摘除例は増加すると考えられる.
  • 林 繁和, 江崎 正則, 小島 洋二, 山田 昌弘, 土田 健史, 佐竹 立成
    1986 年 28 巻 9 号 p. 2084-2088_1
    発行日: 1986/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     患者は29歳男性,1976年10月吐血で当院入院,十二指腸潰瘍と診断,以後十二指腸潰瘍,ビラン性胃炎として度々通院治療,最近1年間で9kgの体重減少あり,下腹部痛,軟便傾向も見られ,1984年8月入院した.入院時,軽度の低色素性貧血,血沈の中等度亢進,CRP陽性を認めた.上部消化管内視鏡は8年前より頻回に施行,屡々十二指腸球部に小潰瘍,胃前庭部に小ビランの多発を認めた.今回,入院時,十二指腸病変,胃病変の生検のうち胃前庭部の1箇所より小さな非乾酪性肉芽腫を認めた.また大腸X線・内視鏡検査でS状結腸及び横行結腸に縦走潰瘍や敷石像がみられ,大腸病変部の生検組織より,非乾酪性肉芽腫を認めた.以上より,本例はクーロン病診断基準に照らし,確診例でしかも8年前より上部消化管病変が観察された興味ある症例と考えられた.
  • 安藤 三男, 天津 孝, 正木 秀博, 田中 実, 大坂 直文, 森田 邦夫, 今木 正文, 大柴 三郎
    1986 年 28 巻 9 号 p. 2089-2094_1
    発行日: 1986/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     病例は80歳,男性.腹痛,黒色便にて入院す.入院時の胸部X線写真で左下肺野に腫瘤陰影を認め,喀痰細胞診にて扁平上皮癌が疑われた.一方消化管出血に関しては小腸造影,小腸内視鏡検査にてTreitz靱帯より30cmの部位にBorrmann3型様の隆起性病変を認めたが,生検で悪性所見は得られなかった.腹腔鏡検査を行なったところ小腸漿膜面に鶏卵大,白色髄様,カリフラワー状の腫瘍が存在し,同部位よりの生検にて扁平上皮癌と診断されたため,肺癌よりの転移性小腸腫瘍の診断にて手術を施行した. 肺癌の小腸転移の頻度は少なく,また小腸病変の診断の困難さから,本疾患で術前または生前に診断された例は非常に稀である.自験例の診断には腹腔鏡下生検が有用であった.
  • 津野 至孝, 牧山 和也, 田中 俊郎, 長部 雅之, 小森 宗治, 井手 孝, 原口 増穂, 村田 育夫, 田中 義人, 原 耕平, 赤司 ...
    1986 年 28 巻 9 号 p. 2095-2101
    発行日: 1986/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     Klippel-Trenaunay-Weber症候群の1例を経験した.症例は,53歳女性で,7歳頃より右下肢の肥大が出現,同側に血管性母斑と静脈瘤がみられた.31歳頃より下血もみられるようになり,痔核切除術を受けたが改善はみられなかった.長期間にわたる下血のため52歳頃より貧血症状が強くなり入院した.入院時検査で,Hb2.2g/dlと著明な貧血があり,低蛋白血症,低コレステロール血症がみられた.腹部血管造影では,多数の静脈石と一部に静脈瘤様の血管拡張やpoolingがみられた.大腸内視鏡では,肛門輪直上に内痔核が多数みられ,直腸からS状結腸中央部まで著明に拡張した血管が透見された.これは,本症候群の消化管合併症の1つと考えられているが,大腸内視鏡による血管病変の直接観察の試みは未だ少ないので報告する.
  • 小林 壮光, 舛谷 治郎, 垣内 英樹, 藤田 伸夫, 小笠原 実, 楢崎 義一, 矢花 剛, 谷内 昭, 成松 英明
    1986 年 28 巻 9 号 p. 2102-2106_1
    発行日: 1986/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は10歳の女児で血便を主訴に受診した.注腸バリウム検査で,上行結腸に頭部にやや凹凸のみられる山田・福富分類IV型のポリープが認められた.大腸内視鏡検査では,上行結腸にほぼ球形で表面が平滑な頭部を2つ有するいわゆる双頭性のポリープが認められた.ポリペクトミーを施行したが摘出したポリープは内視鏡所見と同じく双頭性であり,それぞれの頭部の直径は2.2×1.4cm,1.6×1.0cmであった.弾性硬で表面に発赤がみられ,割面には微小な嚢胞が点在していた.病理組織学的には嚢胞状に拡張した腺管,粘液の貯留,間質の浮腫など若年性ポリープに特徴的な所見に加え,本症例では好酸球浸潤の目立った点が注目された.本症は,本邦で190例を越す報告があるが,上行結腸に発生した例は本邦3例目と思われきわめて稀である.また摘出標本で,間質に好酸球浸潤が目だった点は本症における成因との関連性を示唆する興味深い症例と思われる.
  • 白木 茂博, 後藤 和夫, 野口 良樹, 岡山 安孝, 松葉 周三, 林 弘太郎, 横地 真, 伊藤 誠, 武内 俊彦
    1986 年 28 巻 9 号 p. 2107-2113_1
    発行日: 1986/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     Double pylorusは本邦において自験例を含め42例が報告されているにすぎない.今回,私達は先天性と思われるdouble pylorusの1例を経験したので報告する. 症例は79歳,男性.胃部不快感を主訴として来院した.胃透視では,十二指腸球部内に隆起性変化を認め,内視鏡を施行した.内視鏡的には,幽門輪が前壁から後壁への隔壁により2分されている,いわゆるdouble pylorusであった.本症例は既往に潰瘍歴のないこと,隔壁からの生検組織で潰瘍性変化や炎症性の線維化を示唆する組織所見が得られなかったことより,先天性double pylorusの可能性が高いと考えられた.
  • 岡野 均, 児玉 正, 佐藤 達之, 西田 博, 内田 秀一, 今村 政之, 堀口 雄一, 瀧野 辰郎, 木村 研志, 津田 知宏
    1986 年 28 巻 9 号 p. 2114-2117_1
    発行日: 1986/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     正常な吸収消化機能を有しているにもかかわらず種々の原因により経口的に栄養を摂取することが出来ず,かつ長期的な栄養補給の必要な患者にしばしば遭遇する.現在,このような患者に対しては経鼻胃管,経鼻腸管あるいは外科的胃瘻造設術がおこなわれている.しかし,これら方法は合併症や看護上の面から限界がある.最近,Ponskyらは開腹手術を必要としない経皮内視鏡的胃瘻造設術を考案した.今回,われわれは本法を重度脳障害患者を始めとする3症例に施行した.本法は開腹手術や全身麻酔を施行することの出来ないPoor risk患者にも安全に施行可能である有効な方法であると考えられた.
  • 日本消化器内視鏡学会
    1986 年 28 巻 9 号 p. 2119-2160
    発行日: 1986/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1986 年 28 巻 9 号 p. 2160-2170
    発行日: 1986/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1986 年 28 巻 9 号 p. 2170-2181
    発行日: 1986/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1986 年 28 巻 9 号 p. 2181-2196
    発行日: 1986/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1986 年 28 巻 9 号 p. 2196-2202
    発行日: 1986/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1986 年 28 巻 9 号 p. 2203-2207
    発行日: 1986/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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