抄録
Exulceratio simplex(Dieulafoy)と思われた3症例4病変の出血に対し,内視鏡下に純エタノール局注療法を行い,止血し得たので報告する.症例1は49歳男性,心窩部痛と吐血を来したため入院,噴門直下小彎前壁よりに噴水状出血を認めた.症例2は61歳男性,突然下血を来し入院,体中部後壁に小粘膜欠損と拍動性湧出性出血を認めた.症例3は74歳女性,気管支喘息で入院し,ステロイド治療中,突然吐血した.体中部後壁,その後,体下部後壁に動脈性出血を認めた.以上3症例4病変に純エタノール局注を行い止血し得た. 以前,稀とされたExulceratio simplex(Dieulafoy)は,本邦では自験例を含め,1986年3月までに123例報告されている.これらの報告例の臨床像および内視鏡的治療法について,統計的・文献的考察を行い報告する.