日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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腹部超音波検査により発見された胃漿膜嚢胞の1例
老子 善康米島 学平井 信行卜部 健古沢 明彦田中 延善小林 健一服部 信田尻 潔小西 孝司
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1987 年 29 巻 12 号 p. 3122-3129

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抄録
症例は43歳男性.軽度の上腹部痛を認め,近医にて膵嚢胞を疑われ,精査目的で当科に紹介された.腹部超音波検査では胃と膵の間にコンマ状の嚢胞状構造を認め,超音波内視鏡検査では嚢胞に接する胃壁の5層構造は保たれ,膵との境界は明瞭であり,エンハンスCTによる濃染は認められなかった.以上より胃漿膜側あるいは膵の後腹膜側の腹膜嚢胞と診断した.開腹術により,胃幽門小彎後壁と小網に跨って存在する,3×4×1.5cmの単房性の胃漿膜嚢胞で,内容液は漿液性であり,組織学的には,嚢胞壁が一層の扁平な中皮細胞よりなる腹膜嚢胞が確認された.本例では,超音波内視鏡,腹部超音波検査により術前に腹膜嚢胞と診断可能であり,上記検査の有用性が示唆されたので報告した.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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