日本消化器内視鏡学会雑誌
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十二指腸病変を伴ったクローン病の1例
星加 和徳鴨井 隆一加藤 智弘萱嶋 英三小塚 一史長崎 貞臣藤村 宜憲宮島 宣夫島居 忠良内田 純一木原 彊
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1987 年 29 巻 12 号 p. 3134-3141

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抄録
クローン病はわが国では増加の傾向にあるが,十二指腸病変合併例の報告はいまだ少ない.著者らは,小腸・大腸クローン病の経過観察中に十二指腸病変を認めた症例を経験した.症例は25歳男性で,昭和58年に発熱・下痢を主訴として当科に入院した.入院後の検査で小腸・大腸クローン病の確診例と診断した.このとき,十二指腸球部に潰瘍瘢痕を認めたが,生検にては肉芽腫を証明できなかった.昭和59年には十二指腸潰瘍を認め,その経過を追っていると幽門狭窄症状を訴え,十二指腸球部では小隆起が多発し全周性狭窄へと進展した.この部を切除したが,十二指腸壁は肥厚し肉芽腫が認められ,クローン病の十二指腸病変と考えられた.その後,大腸病変の増悪を認めたが,残存十二指腸ではびらんの出没を認めるものの,著明な病変への進展は認めていない.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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