抄録
若年者に発症した左側結腸憩室炎の1例を経験した.症例は24歳男性,左下腹部痛を主訴に湖東総合病院に入院.入院時理学的に左下腹部に限局性圧痛ありBlumberg徴候陽性であった.検査成績では白血球11,600/mm3,CRP(+)で軽度炎症所見がみられた.注腸検査(入院第3病日)では,下行結腸後壁よりに直径約5mmの憩室あり,辺縁は不整で,憩室側腸管の壁外からの圧排像,憩室周囲のハウストラの乱れ,アコーディオン様歯状陰影を認めた.内視鏡検査(入院第5病日)では,肛門輪から約60cm口側の部位にほぼ正常粘膜からなる憩室入口部を,憩室周囲粘膜に浮腫と発赤,腸管外からの圧排所見を認めた.抗生剤CEZ,CMZ,抗菌剤OFLXにより治癒し,入院第24病日に退院した.なお,入院第20病日の注腸検査,入院第16病日の内視鏡検査では,憩室のみで前回みられた所見は消失していた.症例の報告に加えて,本邦における若年者の左側結腸憩室炎の報告例について考察した.