日本消化器内視鏡学会雑誌
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胃の腸上皮化生と逆流胆汁との関連性についての検討(II)
苅田 幹夫
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1987 年 29 巻 8 号 p. 1671-1682_1

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抄録

 内視鏡的メチレンブルー法に基づいた幽門洞の腸上皮化生域の拡大にともない,腸上皮化生粘膜の増殖帯および表面構造が,どのように変化していくのかを検討するとともに,胃液中の胆汁酸がその過程に及ぼす影響について検討を行った.なお,増殖帯の検討には,オートラジオグラフィーを用い,表面構造については,走査電顕を用いて,microvilliの形態を中心に,その検討を行った.さらに,胃液中の胆汁酸は,高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した. その結果,幽門洞における腸上皮化生域の拡大にしたがい,増殖帯は,腺底部へと短縮してゆき,腺頂部のmicrovilliは,成熟していく傾向がみられた. また,ほぼ同一の腸上皮化生の拡がりを示す群のなかで,胃液中の1次タウリン抱合型胆汁酸の濃度が高いほど,増殖帯の腺底部への短縮がみられ,microvilliが成熟してくる傾向があり,1次タウリン抱合型胆汁酸は,腸上皮化生の増殖帯を刺激し,その位置を腺底部への短縮させ,腺上部のmicrovilliを成熟させる作用をもつことが示唆された.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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