抄録
内視鏡的栓塞療法施行時に得られたendoscopic varicerography(EV)を経皮経肝門脈造影による知見をもとにして判定し,食道静脈瘤を介する門脈側副血行路について検討した。対象は,1981年10月~1985年9月までに本治療法を施行した症例264例中,明瞭なEV像の得られた126例である. EVにより,食道静脈瘤を介する門脈側副血行路は,左胃静脈,噴門静脈叢,短胃静脈などの食道静脈瘤血液流入路と,食道静脈瘤以外の血液排出路である食道外シャントに大別された.各側副血行路の造影頻度は,左胃静脈52.4%,噴門静脈叢47.6%,短胃静脈8.7%,食道外シャント14.3%であった。以上から,内視鏡的栓塞療法を施行するにあたっては,EVによりこれらの血行路を判定しつつ薬剤注入量をコントロールすることによって,副作用を減らし,治療成績を向上させることができると考えられた.