日本消化器内視鏡学会雑誌
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化生性胃炎初期変化としての若年鳥肌胃炎の検討
小西 二三男伊藤 透竹内 功
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1987 年 29 巻 8 号 p. 1702-1706_1

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抄録

 10歳代の若年胃炎36例について,鳥肌胃炎16例,疣贅性胃炎13例,表層性胃炎7例を内視鏡学的に診断し,胃生検材料について組織学的,免疫組織化学的検討を加えた.鳥肌胃炎は幽門腺域に無数の2~3mm大の小顆粒が出現し,その組織学的主体はリンパろ胞形成であった.隆起頂部にMB染色にて微小腸上皮化生を6例に認め,組織学的に4例に腸上皮化生腺管を認めた。他の胃炎ではより広い領域性の化生腺管であった.粘膜間質のリンパ球,形質細胞の胞体内免疫蛋白はほとんどの胃炎でIgA優位であり,化生上皮胞体内にsecretory componentを認めた.しかし鳥肌胃炎のろ胞内にはIgG,M,Aのリンパ球が混合し,1例には間質リンパ球にIgG優位の所見を認めた。また,化生上皮胞体内のIgAは鳥肌胃炎例に限り証明できず,腸管免疫機構として未発達であった.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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