日本消化器内視鏡学会雑誌
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グルカゴンによる門脈血流増加作用にともなう食道静脈瘤内視鏡所見の変化
板倉 勝松崎 松平門坂 利雄谷 札夫幕内 博康熊谷 義也
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1987 年 29 巻 8 号 p. 1715-1721

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抄録
 食道静脈瘤を有する肝硬変症患者においてグルカゴン負荷前後の食道内視鏡所見の変化につき検討を加えた.グルカゴン静注直後から認められた変化は静脈瘤緊満度の増加,赤色調の増加,粘膜の細血管網の顕著化,red color signの出現と増加であったが,グルカゴン負荷による血流増加にともないhematocystic spotからの出血をきたした症例も認められた.内視鏡的硬化療法を施行した症例においては,硬化療法により血管内腔の血流が途絶した場合には,グルカゴン負荷後も形態及び色調に変化は認められなかった.一方,平坦化した静脈瘤がグルカゴン負荷後,高さを増す症例が認められ,内腔の血流残存が示唆された. グルカゴン負荷食道内視鏡は肝硬変患者における静脈瘤への門脈圧の関与の程度を明らかにするうえで有用であり,硬化療法の効果判定にも役立つと考えられる.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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