抄録
出血性素因を有し,内視鏡的ポリペクトミーの適応とならない消化管隆起性病変に対して,Nd-YAGレーザーを用いて内視鏡レーザー治療を試みた.症例1は71歳男性で慢性リンパ性白血病に胃ポリープ(Group III)を,症例2は77歳男性で血小板減少を伴う肝硬変症にS字状結腸ポリープ(Group 4)を,症例3は75歳男性で再生不良性貧血に早期胃癌(I型)を合併した例である.3症例とも術中,術後に出血などの偶発症をみることなく,病変をほぼ完全に焼灼し得た.今回の症例数は未だ3例と少ないが,本法は出血性素因症例に対しても適応となるばかりでなく,患者の予後の上でも有用と思われる.