日本消化器内視鏡学会雑誌
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肝紫斑症(peliosis hepatis)を合併した馬鈴薯肝の1例
三宅 周川口 憲二尾上 公昭杉山 明藤原 雅親安原 高士河野 宏
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1987 年 29 巻 8 号 p. 1793-1797_1

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抄録
 肝紫斑症を合併した馬鈴薯肝の1例を経験したので報告する. 症例は61歳の女性で,1986年1月に右季肋部痛が出現したため,2月末に某院で精査をうけ,肝に凹凸があり,腫瘤かもしれないといわれ,4月に当院をおとずれた.外来にて超音波検査,CTスキャンなどの精査をおこない,肝腫瘤がうたがわれたので精査を目的に6月に入院した. 入院後の腹腔鏡検査では,両葉に塊状隆起および深い陥凹があり,両葉表面に青紫色の小斑点がびまん性にみられた.生検肝組織では,小葉構造の変形は軽度にとどまり,小葉内に数コの間腔をみとめ,グリッソン鞘内の門脈およびこれに接する静脈洞も拡大していた.これらの所見より,馬鈴薯肝および肝紫斑病と診断した. 肝紫斑症を合併した馬鈴薯肝の症例の報告は,著者らの調査した範囲内では見当たらないので,文献的考察を加えて報告する.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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