日本消化器内視鏡学会雑誌
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確定診断に腹腔鏡下膵生検が有用であった膵カルチノイドの1例
若松 秀樹小松 寛治菅原 善昭三浦 雅人新藤 雅章古謝 進高野 一彦増田 弘毅
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1987 年 29 巻 8 号 p. 1812-1818_1

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抄録
 症例は74歳,女性.4年前に膵体尾癌及び肝転移の診断のもとに化学療法を施行し,その後,通院治療を行っていた。昭和60年8月頃より顔面紅潮が出現したため,再精査を行った.腹部超音波,CTで膵体尾部に約5.7×2.8cmの石灰化を伴う腫瘤を,肝両葉に多数の腫瘤を認め,ERPで主膵管の体尾部での狭窄・断裂を,腹部血管造影で膵体尾部,肝の腫瘍は共にhypervascularであった.腹腔鏡下膵生検で卵円形細胞の充実性結節状,蜂巣状の腫瘍性増殖を認めたが,異形性は少なく,Grimelius染色で細胞質に好銀性顆粒が,電顕でも顆粒が証明され,A型膵カルチノイドと診断した.その後の胸壁リンパ節転移生検のPAP染色でセロトニン強陽性,ガストリン弱陽性,電顕でEC細胞,G細胞類似の顆粒を認めた.顔面紅潮はカルチノイド症候群の1症状と考えられた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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