日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
組織学的に神経原性腫瘍的性格を示した胃のinflammatory fibroid polypの1例
大坂 直文鄭 鳳鉉白木 正裕芦田 潔折野 真哉林 勝吉奥村 泰啓平田 一郎大柴 三郎
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 30 巻 1 号 p. 115-119_1

詳細
抄録
症例は52歳女性.アレルギーの既往歴はなく,再生不良性貧血のためsteroid投与中胃X線検査で,胃前庭部小彎に1×1cm大の類球形山田3型の隆起性病変を指摘された.しかし出血傾向が存在したため,特に処置されず経過観察とされた.約1年後この隆起性病変は2×1cm大の類卵形に増大しており,そのためpolypectomyが施行された.切除された隆起性病変は,組織学的に結合組織の増生と強い好酸球の浸潤を認め,inflammatory fibroid polypと診断された.しかし,その一部に粘液腫様な部分が混在し,同部では線維芽細胞類似の長紡錘形細胞が,うねりながら束状に配列し,蔓状神経線維腫様であった. この症例はinflammatory fibroid polypの病因のひとつに神経原性腫瘍が存在する事を示唆する症例と思われた.
著者関連情報
© 社団法人日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top