日本消化器内視鏡学会雑誌
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30 巻, 1 号
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  • 暗田 隆夫
    1988 年 30 巻 1 号 p. 1
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 城所 仂
    1988 年 30 巻 1 号 p. 2
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • ―噴門について―
    松久 威史
    1988 年 30 巻 1 号 p. 3-13
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    胃内視鏡の反転法により観察される噴門形態を7型に分類し,観察に使用した. トランスジューサー法により内視鏡的に測定した下部食道静止圧,残留胃内圧,下部食道括約部圧は,年齢との間に負の相関を示した.これらの測定値は噴門の閉じたCI,CII型に比し,噴門の開大傾向にあるCVI,CV,CVI型あるいはCVII型(食道裂孔ヘルニア)において低かった.また,食道胃粘膜接合部において誘導した筋電図の蠕動波高と年齢との間には負の相関がみられた.コンゴー・レッドを用いた色素撒布法では,40歳以上に開放型が多く,CIV,CV,CVI型の増加傾向と類似していた.なお,対照群の中部・下部食道,食道胃粘膜接合部の水素イオン濃度と年齢との間には軽い負の相関があった.これらの測定値を噴門形態別にみると,CI,CII型,CIV,CVI型に比しCVII型において低値を示した.
  • ―噴門と幽門の関連性について―
    松久 威史
    1988 年 30 巻 1 号 p. 14-25
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    まず,噴門と幽門の内視鏡的形態を検討した.胃内視鏡の反転法により観察される噴門形態を7型に分類し,一方,幽門形態は6型に分けて観察した. トランスジューサー法により内視鏡的に測定した前庭部と十二指腸球部の内圧には有意差はなかったが,幽門の閉じたPI型,それの開閉しているPII型の幽門輪圧はセクレチンの静注により上昇した. 同一症例における4mmと16mmフィルムを用いた噴門形態,幽門形態の比較,内視鏡フィルム上と内視鏡直視下の噴門形態,幽門形態の比較では,いずれも形態上大きな相違はみられなかった.一方,噴門形態と幽門形態を同一症例について対比すると,これらの開大,閉鎖傾向には相関関係が得られた. なお,対照群,胃潰瘍群,十二指腸潰瘍群の血中ガストリン,セクレチン値と年齢,噴門各型との関連性はみられなかった.
  • 吉川 守也
    1988 年 30 巻 1 号 p. 26-37
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    1983年伊藤らが腹腔鏡検査の診断能を高めるべくICG大量静注腹腔鏡検査を報告して以来,その有用性が各施設で報告され,有力な補助診断法として用いられている.著者は本法にときとしてみられる肝表面の着色不良例に注目し,その要因・病態について検討,あわせてラット肝障害モデルによる基礎的検討を行った. 臨床例についての検討では,(1)肝組織内の細胞浸潤が高度,すなわち活動性の強いこと,(2)肝組織内脂肪沈着の高度なこと,および(3)肝表面の著明な微小結節性変化等が肝表面のICG着色不良をきたす要因となりうる. さらにラットモデルにより肝脂肪沈着の高度な程着色性は不良となり脂肪沈着度と着色性には相関傾向のあることが確認された.また同様,実験的にも肝不全状態では着色は不良となり,その改善とともに着色性も良好となることが認められた.その他実験的に脂肪滴の大きさ,脂肪変性や線維増生等の程度および分布の差が着色不均一の原因となりうることが示された.
  • 辻 秀治, 岡野 均, 丸山 恭平, 古谷 慎一, 光藤 章二, 高升 正彦, 西田 博, 川本 克久, 辰巳 嘉英, 時田 和彦, 藤野 ...
    1988 年 30 巻 1 号 p. 38-43_1
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    食道静脈瘤硬化療法(以下EIS)後に剖検された10例について病理組織学的変化を検討した.硬化剤として50%ブドウ糖液,1%Aethoxysklerolおよびヒトトロンビンを使用し血管内注入を行った. 静脈血栓は全例に認められ,初回EISから12~24時間後に死亡した2例では血栓は赤色血栓で,1~2.5カ月経過した5例では器質化し,1~2年経過した3例では線維成分の増生を伴っていた.2.5カ月以上経過した4例で血栓内に再疎通像を認めた. 静脈周囲の組織では最終EISから4日以内の症例では炎症性細胞浸潤を主とした急性炎症所見を,初回EISから1カ月以上経過した症例では線維化を粘膜下層に認めた. 以上のように血栓形成およびその器質化と食道壁の線維化がEISの有効性を病理組織学的に裏付けるものと考えられた.
  • 苅田 幹夫, 多田 正弘, 柳井 秀雄, 川野 博章, 広田 和子, 重枝 正樹, 岡崎 幸紀, 竹本 忠良
    1988 年 30 巻 1 号 p. 44-54_1
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    生検で,GroupIIIおよびIVとされた73個の胃病変に対して,Strip biopsyを施行し,組織学的確定診断を行った.さらに,その標本をもとに,病変が癌で,生検診断がGroupIIIとされる背景について病理学的に検討した.また,これらの明確な組織診断に基づいた癌と異型上皮巣の内視鏡的鑑別点についても検討し,以下の結論を得た. 1)GroupIIIおよびIV病変のStrip biopsyによる最終診断は,高分化型腺癌が74.0%,境界病変が9.6%,腺腫が16.4%であった.なお,本論文では,境界病変と腺腫を合わせて異型上皮巣としている. 2)上記診断で癌とした54病変を,細胞および構造異型の両面から分類すると,細胞異型がそれほど強くなく,癌を示す構造異型の強い箇所が,病巣の局所にのみ認められた病変が28病変あった.すなわち,これらの病変は,生検でGroupIIIと診断される可能性が高いと推測された.と同時に,これらの病変は,内視鏡的に異型上皮巣との鑑別が難しかった. 3)Rerospective endoscopic studyの結果,病巣の表面が2曲面以上から構成されているものは癌の確率が高く,分割されていても,1曲面から成るものは,境界病変や腺腫といった異型上皮巣である確率が高かった.また,陥凹型は,すべて癌であった.
  • 白井 孝之, 伊藤 慎芳, 福岡 賢一, 土谷 春仁, 北村 明, 桜井 幸弘, 池上 文詔, 多賀須 幸男
    1988 年 30 巻 1 号 p. 57-62_1
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    細径前方視鏡による観察で幽門輪にかかる潰瘍を幽門輪潰瘍と呼ぶことにして調査し,以下の結果を得た.最近7年間の幽門輪潰瘍は77例で,同期間の全消化性潰瘍症例の1.7%であった.性比,年齢分布等の臨床的背景は,胃潰瘍より十二指腸潰瘍に近似していた.非定型的疼痛,嘔気嘔吐,やせ等のpyloric channel syndromeを呈するものは30%と意外に少なかった.内視鏡的形態は,単発54例,線状15例,接吻8例で,前壁側(33.6%),小彎側(30%)に多かった.胃潰瘍の併存は54.5%と極めて高率で,十二指腸潰瘍の胃潰瘍併存率(23.7%)を遙かに上回った.一方幽門輪から明らかに離れた十二指腸球部の潰瘍の併存は,幽門輪潰瘍の9.1%に過ぎなかった.経過観察中に,幽門輪潰瘍が球部内の潰瘍ないし瘢痕とみなすべき状態になったものが5例みられた.以上の所見を総合すると,幽門輪潰瘍は十二指腸潰瘍に近縁の病変で,さらにその一部に,本来は十二指腸潰瘍であるが,浮腫,変形等により幽門輪潰瘍として観察されているものが含まれている可能性が示唆された.
  • 香川 恵造, 疋田 宇, 福井 進, 多々 尚, 竹内 孝幸, 新谷 弘幸, 出口 武司, 児玉 正, 岡上 武, 瀧野 辰郎, 芦原 司, ...
    1988 年 30 巻 1 号 p. 63-68_1
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    実験的肝癌発生過程を腹腔鏡的に観察することは,肝発癌のsequentialな解析に有用である.本研究では,電子内視鏡を用いて発癌過程における肝表面像の変化を詳細に観察するとともに,ICG(7.5mg/kg)静注前・後の色調変動についても検討を加えた.また,画像処理装置(TOSPIX-II)を用いてRGB色空間,HSI色立体に基づく画像解析を行った. 0.005%diethylnitrosamine投与後,肝表面の血管増生が徐々に著しくなり,12週以降より表面平滑で白色調を呈する過形成性結節(HN)が出現し,15週以降には肝癌(CA)の発生が観察された.ICG投与による腹腔鏡では,HN及びCAの両病巣はともにICGの取り込みを示さなかった.しかし,HSI変調による画像解析において,HNは非病変部とCAとの中間の色調変動を示しており,HNがなお若干のICG取り込み能を有していることが明らかとなった.
  • ―蛍光造影剤を用いた静脈瘤内注入法の試み―
    岡野 均, 児玉 正, 辻 秀治, 高升 正彦, 古谷 慎一, 光藤 章二, 西田 博, 佐藤 達之, 福田 新一郎, 布施 好信, 瀧野 ...
    1988 年 30 巻 1 号 p. 71-74_1
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    食道静脈瘤硬化療法(以下EIS)において,硬化剤の静脈瘤内注入を確認する方法としてX線透視下にEISを施行する方法がある.しかしこの操作は繁雑でより簡便な方法が望まれる.そこでわれわれは蛍光造影剤フルオレスチンを使用し非透視下に硬化剤の静脈瘤内注入を確認する方法を試みた.対象は待期・予防的にEISを行った食道静脈瘤患者20例である.EISは従来よりわれわれが行っている.50%グルコース液,エトキシスクレロールおよびヒトトロンビンを静脈瘤内に注入した.今回の方法にあたって,50%グルコース液にフルオレスチンを添加した.EIS時,刺入した静脈瘤が黄緑色に変色した.噴門部静脈瘤の変色を認める例もあった.変色が刺入局所の膨隆となった場合は静脈瘤外注入と判断し硬化剤の注入を少量にとどめたため,EIS後潰瘍を認めることが少なくなった.また刺入部以外の静脈瘤が変色し硬化剤の流入が確認された例では変色のない静脈瘤を順次穿刺することにより効率よくEISを行うことが出来た.フルオレスチイン添加による合併症は今のところ経験していない.
  • 山本 雅敏, 長谷川 辰雄, 吉田 利明, 高橋 昭彦, 相原 真理子, 坂野 俊彦, 若松 伸治, 内海 恵子, 水野 宏, 佐藤 孝道, ...
    1988 年 30 巻 1 号 p. 77-83_1
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    愛知医科大学第2内科およびその関連施設で最近5年間に経験した上部消化管異物33例について,異物の形状別に内視鏡的摘出方法を検討した.自然排出があったもの6例を除く27例について内視鏡的摘出を試み,24例で何ら合併症もなく摘出が行われたが,PTP包装錠,義歯を誤嚥した症例で,食道上部で粘膜にくい込み摘出が困難な症例を経験した.そこでわれわれは,先端の開いた形の,軟らかい弾性のあるシリコン製フードを試作し,内視鏡先端部に取付け,鋭利な異物をフード内に取込むことにより,特に異物のoral側が直接粘膜を傷つけない工夫を行い,縫針およびPTP包装錠の異物摘出時に使用したところ,何ら合併症もなく安全に摘出することができた.異物の大きさや形状によって,従来より行われているような把持鉗子の選択,把持位置の工夫等を加えて,フード付き内視鏡を用いることにより,合併症の危険性のある異物についても,簡単に,きわめて安全に,内視鏡的摘出が可能であると考えられる.
  • ―特に隆起型胃潰瘍瘢痕と白色隆起の差異―
    伊東 進, 梶本 浩子, 辻 泰弘, 矢野 充保, 和田 哲, 北川 直之, 春藤 譲治, 清水 一郎, 岸 清一郎, 佐野 寿昭
    1988 年 30 巻 1 号 p. 84-93
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    H2プロッカー使用例における隆起型胃潰瘍瘢痕(EUS)8例(A)と非使用例におけるEUS15例(B)とを比較すると共に,白色隆起7例とEUSの差異についても検討した.AはBより高率に出現し,高齢者に多く見られた.発生部位はAでは胃全域に見られたがBではほとんどが幽門前庭部に見られた.EUSは再生上皮で覆われた隆起巣であり,白苔は認めず,生検組織像では腺窩上皮の過形成であった.隆起巣形成までの期間は平均4週間と短く,形成された隆起巣は数カ月から数年と長期にわたり隆起の形態をとどめた.一方,白色隆起は白色調をおびた隆起巣であり,生検組織像では肉芽であった.隆起巣形成までの期間は平均4週間であったが,形成された隆起巣は数週から数カ月と比較的短期間に平坦化した.従って,EUSと白色隆起とは異質のものと考えられた.H2プロッカー使用例において高率にEUSや白色隆起がみられたことは,強力な坑潰瘍作用による急激な組織の過形成がその成因と考えられた.
  • 伊吹 康良, 岡部 純弘, 福井 俊彦, 樫田 博史, 平佐 昌弘, 工藤 正俊, 藤見 勝彦, 冨田 周介, 小森 英司, 織野 彬雄, ...
    1988 年 30 巻 1 号 p. 94-100_1
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    亜硝酸製剤の乳頭括約筋に対する弛緩作用を利用し,総胆管結石症の4症例に対し内視鏡的に乳頭括約筋切開術を行うことなく結石を除去し得た.本法は,静注用亜硝酸製剤の投与下に,内視鏡的にバスケットカテーテルを胆管内に挿入し結石を把持し,あるいはバルーンカテーテルを胆管内に挿入後結石と共に引き抜く事により除去するものである.術中,血圧低下その他の副作用は認めなかった.本法の適応は総胆管内の小結石例であるが,特に内視鏡的乳頭括約筋切開術の禁忌もしくは不適当な症例には有用と思われる.また,ERCPや内視鏡的乳頭括約筋切開術などの施行時,乳頭括約筋の緊張が強くカテーテル等の挿管が困難な場合にも応用することができる.
  • 加藤 晴一, 斎藤 行世, 佐藤 寛, 原田 吉憲, 小松 和久
    1988 年 30 巻 1 号 p. 101-106_1
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    先天性胆道閉鎖症術後に食道および噴門部静脈瘤を合併した8歳男児に対し,5%ethanolamine oleateを用い予防的な内視鏡的硬化療法を施行した.計3回の硬化療法により,食道静脈瘤は完全消失しまた噴門部静脈瘤も著明に改善した.2および3回目は静脈瘤造影下に行った.この際,硬化剤注入部に一過性の食道潰瘍を見たが,それ以外の合併症は認められなかった.従来より,門脈圧亢進症に対し外科手術が試みられているが,術後出血や合併症の問題がありその効果は充分とは言えない.これに対し,食道静脈瘤出血における緊急ないし待期的硬化療法の有効性が小児例においても報告されている.非出血例に対する予防的施行例は少なく,また小児の食道静脈瘤出血の内視鏡的risk factorに関し確立した見解は得られていないが,今後試みるべき方法と考える.
  • 高沢 雅秋, 浅井 俊夫, 岡村 正造, 山口 初宏, 三竹 正弘, 越知 敬善, 大橋 信治
    1988 年 30 巻 1 号 p. 109-112_1
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    他院の資料も含めて約7年間の自然発育経過を観察できた隆起型胃癌の1例を経験したので報告した.患者は67歳,男性.1978年1月検診にて,食道胃接合部近傍の穹窿部に小ポリープを指摘され,その半年後の検査で初回と著変なく,その後放置されていた.4年後の検査時には,レ線上径約2cmのIIa+IIc様病変であったが,生検にてGroupIIIと診断されたため半年後の再検査を指示するも来院しなかった.1985年10月,下痢を主訴に来院.胃X線,内視鏡検査にて,食道胃接合部より僅かに穹窿部小彎側に,レ線上径約4cmのBorrmann1型病変を認め,生検でGroup V と診断され胃全摘術を実施した. 肉眼的には噴門より1cmの小彎側やや前壁に40×35mmのBorrmann1型の胃癌を認め,病理組織学的には中分化型腺癌で,深達度はpm,1y1,v0,n1(-),n2(+),n3~n11(-)であった. 患者は術後1年7カ月を経過したが健在である. 本例は隆起型胃癌の自然発育経過を知る上で貴重な1例と考える.
  • 大坂 直文, 鄭 鳳鉉, 白木 正裕, 芦田 潔, 折野 真哉, 林 勝吉, 奥村 泰啓, 平田 一郎, 大柴 三郎
    1988 年 30 巻 1 号 p. 115-119_1
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は52歳女性.アレルギーの既往歴はなく,再生不良性貧血のためsteroid投与中胃X線検査で,胃前庭部小彎に1×1cm大の類球形山田3型の隆起性病変を指摘された.しかし出血傾向が存在したため,特に処置されず経過観察とされた.約1年後この隆起性病変は2×1cm大の類卵形に増大しており,そのためpolypectomyが施行された.切除された隆起性病変は,組織学的に結合組織の増生と強い好酸球の浸潤を認め,inflammatory fibroid polypと診断された.しかし,その一部に粘液腫様な部分が混在し,同部では線維芽細胞類似の長紡錘形細胞が,うねりながら束状に配列し,蔓状神経線維腫様であった. この症例はinflammatory fibroid polypの病因のひとつに神経原性腫瘍が存在する事を示唆する症例と思われた.
  • 落合 正宏, 天野 洋, 杉上 勝美, 藤田 真司, 松原 俊樹, 二渡 久智, 山口 久, 福井 博志, 亀井 克彦, 長谷川 茂, 船曳 ...
    1988 年 30 巻 1 号 p. 120-124_1
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例1は67歳の女性で胃体部後壁のボールマンI型胃癌の診断であったが,肝機能障害が高度なため手術不能であった.内視鏡下のOK-432反復局注により腫瘍は次第に変形,縮小し,総量50KE注入後はほぼ平坦となった.2カ月後肝不全のため死亡したが,剖検時肉眼所見では腫瘍は完全に平坦化し,組織学的には変性,壊死の著明な悪性腺管の遺残を1カ所に認めたのみで,大部分の腫瘍細胞は消失していた. 症例2は76歳の男性で,胃体下部前壁のIIa胃癌の診断であったが,当初手術拒否のため局注療法を行った.OK-432投与の反復に伴い平低下が著明で,50KE注入後は肉眼的に腫瘍消失した.1カ月後同意を得て手術施行したが,切除胃の組織学的検索にて,病巣部腺管の大部分は腸上皮化生となっており,一部にわずかな異型腺管の残存を認めた.間質へのリンパ球浸潤も著明であった.
  • 大城 宏之, 横山 泰久, 横山 功, 近藤 建, 菊池 学
    1988 年 30 巻 1 号 p. 127-134_1
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    Multiple lymphomatouspoly posisの2例を経験したので報告する.症例1:73歳男性.主訴は下痢.1日3~4回の下痢が続き,近医にて止痢剤の投与を受けるも効果なく,当院外来受診し,胃X線,胃内視鏡,注腸施行後,胃から大腸まで広範囲にリンパ系細胞の腫瘍性増殖からなる多発ポリープ病変を認め,悪性リンパ腫と診断され,治療のため入院となった.症例2:72歳男性.主訴は心窩部痛.胃X線検査にて胃・小腸に大小様々の隆起性病変を多数認め,注腸でも下行結腸から盲腸まで同様の変化がみられた.2例ともポリープ状の隆起病変の生検組織にてLymphoma細胞のびまん性の浸潤増殖が見られ,VEMP療法にて著明な改善が認められた.
  • 川野 正樹, 吉川 守也, 藤原 弘道, 大類 方巳, 島田 克己, 増山 仁徳, 杉田 敏夫, 菅谷 仁, 加藤 善久, 原田 尚
    1988 年 30 巻 1 号 p. 135-138_1
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    54歳の男性.10年来肝障害を指摘されており,肝精査を勧められ当科へ入院した.触診,画像診断で肝左葉に腫瘍を認め,腹腔鏡検査時の肝生検,吸引細胞診により肝硬変症および肝細胞癌と診断した.上部消化管透視上,胃前庭部から十二指腸球部にかけ全周性の陰影欠損像を認めたため内視鏡検査を施行したところ,胃前庭部の変形,狭小化と胃・十二指腸に潰瘍を認め,球部前壁の潰瘍からの生検より肝細胞癌が見い出された.臨床的に十二指腸への浸潤を確認しえた症例は少なく,内視鏡所見上興味ある症例と思われる.
  • 松浦 達也, 山本 俊, 竹下 正弘, 梅川 康弘, 松尾 龍一, 池田 宣聖, 松下 公紀, 河合 利夫, 服部 修三, 長岡 三郎, 渡 ...
    1988 年 30 巻 1 号 p. 139-147
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は50歳女性,胃集団検診で胃X線上胃体中部から十二指腸球部にわたる広範な壁外圧迫が認められたため精査目的で入院.腹部超音波検査では肝左葉外側区辺縁より前下方に突出する腹瘤状高エコーがみられ,腫瘤内部には一部低エコー部分が存在した.造影CT検査では腫瘤は辺縁のみ肝実質と同程度に造影され,内部は造影不良であった.以上の所見は肝血管腫に特徴的であったが,腹部血管造影検査では左肝動脈外側腹側枝の圧排所見のみで腫瘤濃染は認められなかった.腹腔鏡検査で肝左葉から肝外性に発育する巨大な肝血管腫を認め,この腫瘤が胃を圧迫していた.3年前の胃X線と比較すると腫瘤は著明に増大していたため,腫瘤切除施行.組織学的には赤血球を容れ拡張した血管よりなる肝海綿状血管腫であった.肝血管腫の各種画像診断と腹腔鏡検査所見の特徴について文献的考察を加え,肝外発育性肝血管腫の診断における腹腔鏡検査の重要性を強調した.
  • 中野 浩, 渡辺 真, 高野 映子, 山本 尚人, 寺嶋 洋子, 平尾 亮人, 斉藤 治人, 宮地 育郎, 北川 康雄, 山内 雅博, 堀口 ...
    1988 年 30 巻 1 号 p. 148-152_1
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は43歳,男性.繰り返すタール便を認め,貧血となったが出血部位が不明で入院した.小腸二重造影X線検査を施行したところ,下部回腸に平坦な小隆起を認めた.開腹手術時,この部に手拳大の腫瘤があり,病理組織診断は腸間膜のリンパ管腫であった.X線所見上の小隆起は,この腫瘍が浸潤,増殖し回腸粘膜面に顔を出した所見であった.また,術中の内視鏡検査では,この部分は表面に白色の微細顆粒のある平坦な隆起として捉えられた.この内視鏡所見はリンパ管腫が粘膜面に現われた時の特徴的な所見と考えられる.そして,腸間膜リンパ管腫も,非常に稀であるが消化管出血の1つの病巣となりうる.
  • 田中 俊夫, 長廻 紘, 小幡 裕, 屋代 庫人, 飯塚 文瑛, 五十嵐 達紀, 浜野 恭一, 長谷川 かをり
    1988 年 30 巻 1 号 p. 153-159
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    約25年間再燃を繰り返した潰瘍性大腸炎に大腸癌を合併した症例を経験したので報告する.症例は52歳,女性.約25年間に7回再燃を繰り返している.今回下血を主訴に来院し大腸癌を診断された.切除標本にて直腸に進行癌と早期癌,また横行結腸口側と盲腸にdysplasiaを認めた.その他にも粘膜面に様々な変化を認め,実体顕微鏡にて観察し検討を加えたが,肉眼的にdysplasiaを診断するのは困難であり,鑑別には病理組織学的な検索が必要であると考えた.
  • ―全国主要施設に対するアンケートの集計報告―
    春日井 達造, 伊藤 克昭, 戸田 信正, 亀谷 章, 加納 知之
    1988 年 30 巻 1 号 p. 160-174
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    本アンケート集計によれば,局所根治を目的とした早期胃癌の内視鏡的治療は61施設で1,653例に行われ,進行胃癌の姑息的内視鏡的治療は35施設で386例に行われていた.早期胃癌の局所根治治療において1年以上経過観察による癌陰性率はYAGレーザー,PDT共に83~85%,高周波ポリペクトミーが99%で,少数例ではあるがその他の内視鏡的治療も優秀な成績をあげていた. 今後適応を選び各種の内視鏡的治療法を選択駆使すれば,局所根治の目的が大巾に達せられることが示唆された.一方,胃腺腫はポリペクトミーやレーザーなど本治療法の好適応の一つであった. 進行胃癌の姑息的内視鏡治療としてはYAGレーザーやマイクロ波などが使用され集学的治療の一環として成果をあげていた.
  • 1988 年 30 巻 1 号 p. 175-200
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/05/09
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  • 1988 年 30 巻 1 号 p. 201-217
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/05/09
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  • 1988 年 30 巻 1 号 p. 217-251
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/05/09
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  • 1988 年 30 巻 1 号 p. 251-275
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/05/09
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