日本消化器内視鏡学会雑誌
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OK-432の経内視鏡的腫瘍内反復投与により著明な縮小をみた胃癌の2例
落合 正宏天野 洋杉上 勝美藤田 真司松原 俊樹二渡 久智山口 久福井 博志亀井 克彦長谷川 茂船曳 孝彦
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1988 年 30 巻 1 号 p. 120-124_1

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抄録
症例1は67歳の女性で胃体部後壁のボールマンI型胃癌の診断であったが,肝機能障害が高度なため手術不能であった.内視鏡下のOK-432反復局注により腫瘍は次第に変形,縮小し,総量50KE注入後はほぼ平坦となった.2カ月後肝不全のため死亡したが,剖検時肉眼所見では腫瘍は完全に平坦化し,組織学的には変性,壊死の著明な悪性腺管の遺残を1カ所に認めたのみで,大部分の腫瘍細胞は消失していた. 症例2は76歳の男性で,胃体下部前壁のIIa胃癌の診断であったが,当初手術拒否のため局注療法を行った.OK-432投与の反復に伴い平低下が著明で,50KE注入後は肉眼的に腫瘍消失した.1カ月後同意を得て手術施行したが,切除胃の組織学的検索にて,病巣部腺管の大部分は腸上皮化生となっており,一部にわずかな異型腺管の残存を認めた.間質へのリンパ球浸潤も著明であった.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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