日本消化器内視鏡学会雑誌
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腹腔鏡で確診しえた肝外発育性巨大肝海綿状血管腫の1例
松浦 達也山本 俊竹下 正弘梅川 康弘松尾 龍一池田 宣聖松下 公紀河合 利夫服部 修三長岡 三郎渡辺 誠島田 宜浩
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1988 年 30 巻 1 号 p. 139-147

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抄録
症例は50歳女性,胃集団検診で胃X線上胃体中部から十二指腸球部にわたる広範な壁外圧迫が認められたため精査目的で入院.腹部超音波検査では肝左葉外側区辺縁より前下方に突出する腹瘤状高エコーがみられ,腫瘤内部には一部低エコー部分が存在した.造影CT検査では腫瘤は辺縁のみ肝実質と同程度に造影され,内部は造影不良であった.以上の所見は肝血管腫に特徴的であったが,腹部血管造影検査では左肝動脈外側腹側枝の圧排所見のみで腫瘤濃染は認められなかった.腹腔鏡検査で肝左葉から肝外性に発育する巨大な肝血管腫を認め,この腫瘤が胃を圧迫していた.3年前の胃X線と比較すると腫瘤は著明に増大していたため,腫瘤切除施行.組織学的には赤血球を容れ拡張した血管よりなる肝海綿状血管腫であった.肝血管腫の各種画像診断と腹腔鏡検査所見の特徴について文献的考察を加え,肝外発育性肝血管腫の診断における腹腔鏡検査の重要性を強調した.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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