日本消化器内視鏡学会雑誌
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Strip biopsyによるgroupIII病変の内視鏡的,病理学的検討
苅田 幹夫多田 正弘柳井 秀雄川野 博章広田 和子重枝 正樹岡崎 幸紀竹本 忠良
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1988 年 30 巻 1 号 p. 44-54_1

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抄録
生検で,GroupIIIおよびIVとされた73個の胃病変に対して,Strip biopsyを施行し,組織学的確定診断を行った.さらに,その標本をもとに,病変が癌で,生検診断がGroupIIIとされる背景について病理学的に検討した.また,これらの明確な組織診断に基づいた癌と異型上皮巣の内視鏡的鑑別点についても検討し,以下の結論を得た. 1)GroupIIIおよびIV病変のStrip biopsyによる最終診断は,高分化型腺癌が74.0%,境界病変が9.6%,腺腫が16.4%であった.なお,本論文では,境界病変と腺腫を合わせて異型上皮巣としている. 2)上記診断で癌とした54病変を,細胞および構造異型の両面から分類すると,細胞異型がそれほど強くなく,癌を示す構造異型の強い箇所が,病巣の局所にのみ認められた病変が28病変あった.すなわち,これらの病変は,生検でGroupIIIと診断される可能性が高いと推測された.と同時に,これらの病変は,内視鏡的に異型上皮巣との鑑別が難しかった. 3)Rerospective endoscopic studyの結果,病巣の表面が2曲面以上から構成されているものは癌の確率が高く,分割されていても,1曲面から成るものは,境界病変や腺腫といった異型上皮巣である確率が高かった.また,陥凹型は,すべて癌であった.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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