日本草地学会誌
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牧草根の発達と多糖類分泌に関する研究 : II.培地の物理的環境が分泌量に及ぼす影響
小林 裕志鈴木 昇
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1979 年 25 巻 3 号 p. 227-230

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抄録

イタリアンライグラスおよびアルファルファを供試し,水耕培地・ガラス粒培地および石英砂培地でのグルコースおよびウロン酸の分泌量を検討した。また,根自身の含有するグルコース・ウロン酸を定量し分泌量を比較検討した。三種類の培地で4週令まで生育させた結果は以下のように要約できる。根系形態は水耕培地ではまっすぐに伸長し,粒子培地では間隙形状にあわせて屈曲性に富む。しかも後者で億側根発達が顕著であった。培地への分泌量を定量すると両草種とも粒子培地の方が水耕培地より高い値を得た。たとえばグルコースの場合,粒子培地では水耕培地の6〜7倍量が検出された。既応の文献によれば,粒子培地の根はダメージを受けその傷口からの体液流出物が真の分泌物に加算されることを粒子培地の分泌物多量の理由としている。本報では,根自身に含有する多糖類と培地溶液中のそれとの比較や固定微細間隙で示した根の動態から判断し,根が粒子との接触によって受ける物理的な刺激によって生理的分泌量を増加するのではないかと推論した。

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© 1979 著者
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