今回,われわれは,胃粘膜下腫瘍では極めて稀な胃glomus腫瘍を経験した.患者は35歳女性,胃X線および胃内視鏡検査より胃角大彎にbridging foldを伴い頂上にビランをもつ表面平滑な球状の隆起性病変を認めた.内視鏡的に無水エタノールを局注し,生検で胃カルチノイド疑いの診断を得,手術を施行,切除標本では腫瘍は,大きさ4.0×3.5×3.0cm,表面は正常胃粘膜に覆われ,中心に潰瘍形成し,固有筋層から圧排性に発育していた.病理組織学的に胃glomus腫瘍と診断された.われわれの症例と共に,現在まで本邦人により報告された胃glomus腫瘍43例について文献的考察を加えて報告する.