日本消化器内視鏡学会雑誌
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胃血管腫の1例
福井 明中澤 三郎山雄 健次肥田野 等榊原 啓春田 和廣
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1988 年 30 巻 10 号 p. 2294-2297_1

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抄録

症例は38歳女性,易疲労感を主訴として来院し,貧血が著明のため精査の目的で入院した.入院時検査では貧血以外には異常がみられなかった.胃X線検査では前庭部全体を占める隆起性病変による陰影欠損像を認め,内視鏡検査では前庭部前壁よりなだらかに立ち上がる粘膜下腫瘍と,その頂部に発赤した肉芽腫様の腫瘤が露出しているのがみられた.貧血の進行が止まらないため,胃血管腫疑いの術前診断のもとに手術を施行した.切除標本では前庭部のほぼ全体を占める粘膜下腫瘍がみられ大きさは6.5×6.0×5.5cmであった.病理組織学的には粘膜下織を中心として毛細管様の血管に富む像を示し,胃毛細血管性血管腫と診断した.胃の血管腫は比較的稀といわれており,本邦での報告例は70数例を数え,本例を含めて文献的考察を加えた.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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