抄録
症例は63歳女性.1978年5月下痢,下腹部痛,体重減少を主訴に来院.大腸レントゲン検査の結果右側型大腸炎と診断され入院.結核を除外するため診断的治療の意味でストレプトマイシン,イソニアジド,工タンブトールを投与するも症状改善せずプレドニン,サラゾピリン投与で赤沈は改善したが狭窄症状のため右半結腸切除術を施行した.切除標本では肉眼的,組織学的に右側結腸に限局した潰瘍性大腸炎であった.術後症状なく経過していたが9年後の1987年6月左側結腸に再燃した.初回入院時右側結腸に限局していたため潰瘍性大腸炎と断定できなかったが左側結腸に再燃し潰瘍性大腸炎と診断できた症例である.