抄録
今回われわれは膵実質影を得る目的で,濃度分解能に優れたデジタルサブトラクション法を,内視鏡的逆行性膵管造影法に応用した(以下DSERP). 59例に本法を施行し,41例(69%)に膵実質影を得ることが出来た.そのうち35例は広範囲に良好な膵実質影が得られ,また重篤な合併症も認めなかった. 次に膵実質影と膵管像との関係を,この35例につき,慢性膵炎所見の有無につき比較検討した.その結果限局性濃染像と軽度~中等度慢性膵炎との関連性がうかがわれた. 今後,造影率の向上のための手技の改善や,DSERP像と臨床像や病理所見との対比等の課題は残されているが,DSERPは侵襲の少ない膵実質造影法として有用な検査法と思われた.