日本消化器内視鏡学会雑誌
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舌苔の変化と胃病変の関連性に関する検討
土佐 寛順嶋田 豊寺沢 捷年三瀦 忠道田中 三千雄
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1988 年 30 巻 2 号 p. 303-313

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抄録
 舌苔と胃病変との関連を調べるために,疾患を問わない198例について,同時点での舌苔の所見と内視鏡所見とを比較検討した. 舌苔はリングフラッシュストロボで近接撮影を行い舌苔の厚さ及び色調について評点化した.内視鏡所見は,胃びらん,表層性胃炎,萎縮性胃炎について肉眼所見より評点化した.そして舌苔及び内視鏡所見の各々の項目を推計学的に検討した.また胃潰瘍については,その有無と舌の性状について検討した.さらに内視鏡検査を複数回施行した31例について,胃びらんと舌苔の変化の推移について検討した. その結果,胃びらん,表層性胃炎が著しくなるにつれて,舌苔は厚く,黄色調を強める傾向がみられた.また萎縮性胃炎が強くなると,逆に舌苔が薄くなり,色調は白色を示すものが多かった.これらのことから舌苔は胃の比較的急性の変化(炎症)に呼応して変化することが示唆され,舌苔の性状を観察することは一定の診断的意義を有するものと考えられた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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