日本消化器内視鏡学会雑誌
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Salmonella腸炎における大腸内視鏡像の検討
林 繁和中村 常哉栗田 恭充土田 健史吉井 才司
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1988 年 30 巻 9 号 p. 1920-1924_1

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抄録

6年間に経験したSalmonella腸炎71例のうち大腸内視鏡検査を施行した16例の内視鏡:像を検討した.男性12例女性4例で,年齢は25~66歳,平均49.3歳,症状は下痢16例,血便4例,腹痛13例,発熱9例,嘔吐5例であった.16例中11例に発赤,出血,ビランなどの所見がみられ,びまん性病変,縦走性病変各3例,アフタ様病変2例で明確な潰瘍形成を認めたものはなかった.病変部位は全大腸2例,S状結腸から深部大腸2例,上行結腸から終末回腸2例,S状結腸4例,横行結腸1例であった.生検組織所見では7例中2例は高度,3例は中等度,2例は軽度の炎症所見を認めた.本症の内視鏡像は多彩で罹患範囲にも特徴がないので,内視鏡像だけでは潰瘍性大腸炎,他の感染性腸炎,時に薬剤性大腸炎や虚血性大腸炎と鑑別困難であり便の細菌培養が重要である.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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