日本消化器内視鏡学会雑誌
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十二指腸偽メラノーシスの2例
工藤 育男川崎 雅俊棟方 昭博吉田 豊伝法 陽子江度 正川部 汎康小館 史
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1989 年 31 巻 1 号 p. 130-134_1

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抄録
 十二指腸偽メラノーシスの2例を報告した.1例は生来健康な50歳男性で薬物の既往はない.十二指腸球部上壁に黒褐色の斑状の色素沈着を認めた.色素は粘膜固有層にあり,PAS染色,鉄染色陰性であったが,Fontana-Masson染色陽性であった.電顕ではほぼ円形のライソゾームの均一なきめの細かい高電子密度の物質として認めた.他例は83歳女性.高血圧症,貧血で降圧剤(サイアザイド,ヒドララジン,レセルピン),鉄剤を服用.十二指腸下行脚にコショウを振り撒いたように瀰漫性に黒褐色の色素沈着を認めた.生検した組織像では色素はPAS染色陰性であったが,鉄染色,Fontana-Masson染色陽性であった.電顕では不整形のライソゾーム内の電子密度の高い顆粒として認め,lipiddropletsも観察された.後者は典型的症例であるが,前者は臨床的,形態的に既報告例と異なる所見を有していた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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