日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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31 巻, 1 号
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  • 崎田 隆夫
    1989 年 31 巻 1 号 p. 1
    発行日: 1989/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 城所 仂
    1989 年 31 巻 1 号 p. 2
    発行日: 1989/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 河内山 高史
    1989 年 31 巻 1 号 p. 3-13
    発行日: 1989/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     Campylobacter pyloriの胃粘膜障害性を明らかにするために慢性胃炎・消化性潰瘍患者を対象に胃粘膜よりC.pyloriの検出を行うとともに,簡易的定量法を開発し胃疾患との関連性を検討した.また, C.pyloriの存在により増加すると考えられる胃液中アンモニアの,胃粘膜に与える影響について検討した. その結果,疾患別には十二指腸潰瘍に高い検出率を認め,またC.pyloriの検出される症例では,胃各部位に検出される傾向にあった.さらに,内視鏡的Congo red法を施行しC.pyloriの菌量を測定した結果, closed typeでは胃前庭部に,open typeでは有意に胃体部に多く,C.pyloriの存在は,萎縮性胃炎の程度と関係していると考えられた. C.pylori positiveの症例では,negativeの症例にくらべて胃液中アンモニア濃度が有意に高かった.また,positiveの症例で胃内に認められた0.02%アンモニア濃度でnegativeの症例に胃内負荷を行うと,炎症細胞浸潤の増加と胃粘膜血流の低下を認めた.これらの結果より,C.pyloriの存在により増加すると考えられる胃内アンモニアにより,胃炎の生じる可能性が示唆された.
  • 中山 健, 市川 幹郎, 山口 裕国, 野中 洋, 鈴木 俊, 粉川 顕仲
    1989 年 31 巻 1 号 p. 14-25
    発行日: 1989/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     胃ポリープ122例について5年以上平均7年10カ月間経過観察を行なった.そのうち87例(71.3%)に何らかの形態変化を認めた.ポリープの伸長33例(27.0%),膨大44例(36.1%),脱落21例(17.2%),新生20例(16.4%),胃癌の発生7例(5.7%)であった.胃癌発生例のうち1例はポリープそのものの癌の発生であったが,6例は経過観察中に胃癌が併発した. 胃ポリープ症例は胃癌の併発に注意して経過観察を行なう必要がある.
  • 苅田 幹夫, 多田 正弘, 柳井 秀雄, 重枝 正樹, 河内山 高史, 村上 敦司, 竹本 忠良, 児玉 隆浩
    1989 年 31 巻 1 号 p. 26-34
    発行日: 1989/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     1983~1988年までに,stripbiopsyが施行された早期胃癌159症例および1965~1988年までに手術が施行された1,042例の早期胃癌の検討の結果,sm層に数腺管の浸潤をみとめたsm癌は,合計で,21例であった.そして,これらの肉眼分類は,1型が5個,IIa型が4個,IIa+IIcが3個,IIcが6個,IIc+IIIおよびIIc(+III)が3個でとくに,肉眼型に特徴はなかった.と同時に,病変の最大径の範囲は,7mm~60mmで,大きさにおいても特徴的な所見はなかった.しかし,stripbiopsyにより得られた実体顕微鏡像と組織所見の対比により,IIa型においては,表面に,局所的なわずかな陥凹が,1型の場合は,表面の広範なびらんが,IIc型およびIIc+III型の場合は,ウェーブ様のIIc面がsm層へのわずかな癌腺管の浸潤を示唆する所見であることが推察された.また,上記のsm層への微小浸潤癌の切除例14例は,リンパ節転移もなく,stripbiopsy例を含めた計21例の予後は,1例を除き,最長5年11カ月のfollow upを行っているが,現時点において全例健在であり,死亡例1例も胃癌による直接死とは考えにくいことから,その予後は,高分化型あるいは,中分化型の粘膜癌に準ずるものであることが予測された.
  • ―足三里および陽陵泉刺激について―
    黒坂 判造, 青木 高仁, 広岡 達夫, 石川 昌澄, 岩井 力, 江頭 修, 大池 和祐, 金子 庄之介, 喜島 惟栄, 小笹 潔, 貞永 ...
    1989 年 31 巻 1 号 p. 35-42_1
    発行日: 1989/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     古来よ陳洋医学において頻用されている経穴を用いた治療が行われていた・なかでも足三里と陽陵泉は,骸患に有効であると言われてきたが,精確な実鶸果による評価は今日までなかった.今回著都は渭内視鏡を使用して胃液分泌の動態を観察した.その結果足三里刺激は胃液分泌を促進し,pHを低下させ,また陽泉では,逆の弱い効果のあることが判明した.さらに消化管ホルモンについては,足三里では刺激こよりガストリン低下,セクレチン上昇をみとめ,陽陵泉では,ガストリン・セクレチンともに低下した.
  • 柳井 秀雄, 多田 正弘, 荻野 景規, 岡 紳爾, 松浦 伸二郎, 岡崎 幸紀, 竹本 忠良
    1989 年 31 巻 1 号 p. 43-51
    発行日: 1989/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     拡大内視鏡レベルでの十二指腸粘膜パターンを,Isolated pattern, Connected pattern, Atrophic patternの3型に分類した. 正常対照,発赤型・ビラン型十二指腸炎,粘膜粗慥型十二指腸炎では,順次Isolated pattern,Connected pattern,Atrophic patternが多くを占め,十二指腸炎例でvilliの融合・平低下がみられた.また生検組織学的には,発赤型・ビラン型が炎症細胞浸潤の高い状態であるのに対し,粘膜粗慥型は,慢性変化の胃上皮化生が高度な状態であった. 十二指腸粘膜内Cu-Zn SOD量では,十二指腸炎例は,対照と十二指腸潰瘍の中間的な値を示し,ビラン型では潰瘍に近い低下を示した.また,十二指腸炎症例では,粘膜細胞回転が亢進する傾向がみられた.
  • ―その臨床的意義―
    長谷部 千登美, 関谷 千尋, 斉藤 義徳, 金井 賀子, 石川 裕司, 幸田 弘信, 小野 稔, 矢崎 康幸, 並木 正義
    1989 年 31 巻 1 号 p. 52-57_1
    発行日: 1989/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     B型慢性肝炎の進展過程で,斑紋の所見は肝硬変結節の出発点になるものとして重要な所見である.そこで,斑紋から結節に至る形態学的変化やそれに関与する因子について,経過観察例を中心に検討してみた.斑紋から結節への過程をみると,平坦で周囲よりもやや赤い辺縁不明瞭な早期の斑紋から,隆起が増し暗赤色の円形で境界明瞭な斑紋へ,そして次第に隆起の明らかな結節へという変化がみられた.このような斑紋の進展の有無と赤色紋理などの随伴所見についてみると,進展群22例中16例(78%)に初回検査時赤色紋理を認めたが,非進展群では10例中1例に認めるのみであった.また,e抗原陽性例では進展例が79%と多かったが,e抗体陽性例でも50%に進展を認め,これらはほとんどが典型的な斑紋と赤色紋理とを同時に認める例であった.これらのことより斑紋の所見は,赤色紋理の有無やウイルスマーカーの所見とならんで,肝炎の予後を推測するうえで重要な所見であると思われた.
  • 岡村 正造, 浅井 俊夫, 山口 初宏, 越知 敬善, 大橋 信治, 三竹 正弘, 加藤 忠, 浜島 英司, 山本 義樹
    1989 年 31 巻 1 号 p. 58-64_1
    発行日: 1989/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     径5mm以上のIIa~IIa+IIc型早期大腸癌の16例を佐野分類に準じてポリープ型(P型),びらん型(E型),深部浸潤型(D型)の3型に分類して臨床病理学的検討を試みた.結果:(1)P型が11例,E型が1例,D型が4例で,P型の7例が深達度mで他の9例はsmだった.(2)P型の9例は腺腫部分を伴っていたが,他の7例は腺腫部分を伴わなかった.(3)P型,E型に共通な内視鏡所見の特徴は毛細血管透見像の消失で,色調は3例がほぼ正常で,8例は正常粘膜より軽度発赤していた.(4)D型の内視鏡所見の特徴は起始部粘膜が正常で,頂部は褪色するか白苔を有した.また,長径が1cmと小さな深達度smのD型病変が2例あり,D型病変はP型より生物学的悪性度が高いと推測された. 以上より,IIa~IIa+IIc型早期大腸癌をP型,E型,D型の3型に分類することは診断学的にも,また,大腸癌の発生と発育を探求する上からも有意義と考えた.
  • ―自験24例の臨床的検討―
    大川 清孝, 北野 厚生, 小畠 昭重, 福島 龍二, 岡部 弘, 加島 和俊, 中村 志郎, 押谷 伸英, 橋村 秀親, 日置 正人, 松 ...
    1989 年 31 巻 1 号 p. 65-75
    発行日: 1989/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     過去7年4カ月の間に24例のアメーバ性大腸炎を経験し,その臨床的検討を行い以下の結論を得た.1.1980年以前は1例も経験しておらず,近年急激な増加傾向がみられた.2.男性が87.5%,海外渡航歴が25%,男性同性愛者が25%,TPHA陽性が29%であることより,本症の感染の一部は男性同性愛者の性行為と密接な関係があることが疑われた.3.好発部位は直腸であり88%に病変がみられた.また,広範囲罹患例では病変がskipする傾向がみられた.4.最も特徴的な内視鏡像は,タコイボ所見と紅暈を持つ潰瘍またはびらんであった.5.好発部位,内視鏡像などより本症と最も鑑別を要する疾患は潰瘍性大腸炎であった.本症においてsalicylazosulfapyridine,副腎皮質ホルモンで一時軽快する症例がみられることは,治療による潰瘍性大腸炎診断の危険性を示唆していた.6.本症の診断はまず内視鏡像より本症を疑うことが最も重要であり,確定診断には生検と免疫学的血清反応の組み合わせが最も簡便で有効な方法と考えられた.
  • ―ポリペクトミーは癌発生の予防になりうるか―
    岡本 平次, 佐々木 哲二
    1989 年 31 巻 1 号 p. 76-82
    発行日: 1989/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     内視鏡的ポリープ切除が終了した症例394名(男293名,女101名)を大腸内視鏡検査でfollow upを行い,再発見された腫瘍性ポリープの分布や性状を検討した.ポリペク群の腫瘍性ポリープ総数は394例708個で,follow up群は,178例252個であった.つまりポリープ再発見率は45.2%とかなり高値であったが,ポリープ総数そのものは708個から,252個と著明に減少した.ポリペク群708個の分布は,直腸,S状結腸の下部大腸に370個,52.4%と多発していた.一方,follow up群252個は好発部位はなく,各部位にほぼ均等に分布し,小さなサイズが大部分を占めた(5mm以下68.7%,6mm以下88.9%).follow up中に全くポリープが見られなかったのは216名,最終的に認められなくなったのは47名であった.つまり263例,66.8%にポリープの完全消失を見た.以上の結果よりポリペクトミーの導入は,follow up中に発見された腫瘍性ポリープの総数,解剖的分布,大きさに大きな影響を及ぼし,66.8%の症例には完全消失をきたしている.従ってポリペクトミーは癌を含めた大腸隆起性病変発生の予防および根治が可能であろう.
  • 多田 正大, 清水 誠治, 磯 彰格, 大塚 弘友, 尾川 美弥子, 青木 美博, 青池 晟, 川井 啓市
    1989 年 31 巻 1 号 p. 83-89
    発行日: 1989/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    ゾンデ式小腸ファイバースコープを用いて,過去15年間に15名(男性9名,女性6名)のクローン病患者の診断と経過観察を行った.15例のべ28回のゾンデ式小腸ファイバースコープ検査で24回(85.7%)は目的部位までスコープを挿入し,内視鏡観察を行うことができた.15例中13例は小腸病変の存在が確認されたが,2例は病変は大腸にのみ存在した.本症に特徴的な内視鏡所見は縦走潰瘍,輪状潰瘍,不整形潰瘍,aphthoid ulcer,cobble-stone像,炎症性ポリープ,偽憩室,狭窄であったが,微細病変の診断については内視鏡検査がX線検査より優れていたが,偽憩室の診断はX線検査が優れていた. 経過観察例において増悪と改善を繰り返し,病変範囲の進展がみられたが,aphthoid ulcerが縦走潰瘍にまで進展する経過を確認できた例はなかった. 本症の経過観察・診断において,内視鏡検査はX線被爆のおそれが少く,特に経鼻的に検査を行うことができる器種はtotal enteroscopyが可能であり,本症の小腸病変の観察に有用であることが強調される.
  • 松葉 周三, 後藤 和夫, 野口 良樹, 白木 茂博, 神谷 泰隆, 大原 弘隆, 中山 善秀, 神谷 武, 岡山 安孝, 武内 俊彦
    1989 年 31 巻 1 号 p. 90-97
    発行日: 1989/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     大腸ポリープ14例に対し経内視鏡的Nd-YAGレーザー接触照射を行った.症例は高周波ピースミールポリペクトミー後の残存ポリープ8例,扁平隆起性病変4例,有茎性ポリープ2例である.前者12例は照射前の病理組織学的な検索にて腺腫または粘膜内癌であったためポリープの完全消失を目的として,Endotipにて照射を行った.なお,照射条件は基礎的検討として直腸粘膜に単発照射を行い,その組織学的検討の結果15W,1秒とした.有茎性ポリープの2例は高周波ポリペクトミーでは漏電のため腸管損傷が危惧されたため,茎の切断を目的として照射を行った.照射は初めに出血予防のためEndorod with wide divergenceにて茎を凝固した後,Endocutterにて切断し,ポリープの回収を行った.ポリープは全例に完全消失を認め,再発および合併症は認めなかった.本法は高周波ポリペクトミーが困難な大腸ポリープに対し有用かつ安全な方法と思われる.
  • 堀田 茂樹, 加納 知之, 吉井 由利, 伊藤 克昭, 松浦 昭, 桃井 知良, 小林 世美
    1989 年 31 巻 1 号 p. 99-103
    発行日: 1989/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     中間長(130cm)大腸ファイバースコープを用いたtotal colonoscopyにおいては,時にS字状結腸のループによるたわみのためにスコープの挿入が困難な事がある.私どもは,現像済みのレントゲンフィルムを13cm×40cmに切り2枚重ねにしたものをスコープに巻きつけて使用する簡易着脱式スライディングチューブを考案した.本チューブは自在に着脱可能のためS-Djunctionを通過後必要に応じてスコープに装着できる.本チューブは45例に対しすべて非透視下において使用したが合併症は無く,チューブ装着後回盲部まで平均約8分で到達できた.本チューブは従来のスライディングチューブ同様に多発polypのpolypectomy及び回収におけるスコープ挿入,抜去時間の短縮が可能である.スムースにS-Djunctionを通過できる技術があればtotal colonoscopyが可能と成りうる等,その有用性は極めて広いと思われる.また本チューブは廃品レントゲンフィルムを利用しているためdisposableな使用が可能である.スムースに回盲部へ挿入できる場合は必要ないが,挿入困難な症例には安全かつ簡便に施行でき,まず試みる価値があると考えその手技及び成績を報告するとともに今後の大腸内視鏡検査の向上に寄与すると思われる点について報告する.
  • 田沢 潤一, 西村 正信, 酒井 義法, 酒井 英樹, 平沼 進, 岡本 浩平, 大宮司 有一, 蓮村 靖, 青木 望, 滝沢 登一郎
    1989 年 31 巻 1 号 p. 104-109_1
    発行日: 1989/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は48歳,男.健康診断の際の上部消化管造影検査で胃隆起性病変を指摘され,当科を受診した.内視鏡検査では,胃角対側大彎に径約1cmの粘膜下腫瘍を認めた.腫瘍の軽度びらん面より生検し,カルチノイドの病理所見を得た.同時に,著明な高ガストリン血症(1,500pg/ml)を認めたが,尿中5-HIAAや血清セロトニンは正常値であった.胃亜全摘術を行ったところ,切除胃には肉眼的に隆起性病変は認められず,組織学的には,胃底腺の不規則な萎縮(Strickland & MackayのType A gastritis)とともに,胃底腺の深層および粘膜筋板中に多数の微小なカルチノイド巣を認めた.なお,術後血清ガストリン値は正常化した.Type A gastritis,高ガストリン血症とカルチノイド多発という3者の関連を考えるうえで,示唆に富む症例と考えられた.
  • 窪山 信一, 板野 哲, 田中 信平, 吉村 篤, 河原 敏彦, 入江 章, 佐野 幸寛, 日高 令一郎, 佐々木 英, 豊永 純, 谷川 ...
    1989 年 31 巻 1 号 p. 110-115_1
    発行日: 1989/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は,28歳男性,心窩部痛,嘔気を主訴に受診.胃X線検査にて,胃角の開大と前庭部の狭窄像が見られ,胃内視鏡検査にて,胃体部より胃前庭部にかけてびまん性に地図状不整潰瘍やビラン,及びその間に散在性の顆粒状変化を認めた.入院時検査にて血清梅毒反応は強陽性であり,また,H2受容体拮抗剤による初期治療に反応せず,胃X線検査所見,胃内視鏡検査所見,胃生検組織像での非特異的炎症所見などにより胃梅毒を疑い駆梅療法にて完治せしめた.内科的治療により完治し,治癒過程を内視鏡的に観察しえた胃梅毒の1例を経験したので文献的考察も含めて報告する.
  • 折居 正之, 狩野 敦, 渡辺 英裕, 高橋 真, 阿部 弘一, 斎藤 裕, 角田 佐波子, 班目 健夫, 吉田 俊巳, 佐藤 俊一, 小豆 ...
    1989 年 31 巻 1 号 p. 116-122_1
    発行日: 1989/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     好酸球性腹水を伴った好酸球性胃腸炎の2例を経験したので報告する. 症例1は27歳の女性で,既往には寒冷蕁麻疹や胃炎があり,出産後心窩部痛,悪心,下痢が出現した.受診時には腹水がみられ,末梢血検査で白血球39,200(好酸球79%)の異常がみられ入院した.腹水穿刺液は滲出液で多数の好酸球がみられた.胃内視鏡検査では胃角部と体下部に点状および斑状の発赤がみられ,腹腔鏡検査でも胃と小腸の漿膜に発赤がみられた.胃粘膜の生検組織には多数の好酸球浸潤がみとめられた.プレドニンを投与したところ,腹水は消失し自覚症状も改善した.症例2は37歳の女性で,既往に誘因不明の蕁麻疹,便通異常があり腹痛を主訴として来院した.受診時腹水がみられ腹水中に多数の好酸球をみとめ,末梢血検査では白血球数は正常であったが好酸球が11.1%と増加していた.内視鏡検査で胃,十二指腸粘膜に異常はみられなかったが,生検組織には多数の好酸球がみられた.保存的に経過をみていたところ,腹水は消失し自覚症状も改善した. 本症の診断は,アレルギーの既往歴,自覚症状,末梢血中,腹水中および消化管粘膜生検組織標本における好酸球増多などによって比較的容易であるが,腹腔鏡による漿膜の観察も有用であった.また,治療は必ずしもステロイド剤の投与は必要でなく,症例によっては自然に軽快するものもあると考えられた.
  • 菊池 学, 近藤 建, 大城 宏之, 横山 功, 横山 泰久, 野浪 敏明
    1989 年 31 巻 1 号 p. 123-129
    発行日: 1989/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は40歳男性で,胃集検にて石灰化を伴う上腹部腫瘤を指摘され来院した.腹部に腫瘤は触れず,単純写真で左上腹部に70×50mmの結節状石灰化像がみられた.胃X線検査によりこの石灰化像は胃体中部の胃外性腫瘤によるものと判明した.内視鏡検査では同部の粘膜面は数個の隆起が集合していたが・胃内腔への腫瘤の突出はほとんどなく,色調の変化や出血,潰瘍形成などもみられなかった.生検では正常粘膜のみであった.非上皮性胃腫瘍の診断で,悪性の可能性も考え手術を行った.胃体部後壁に胃外性に発育した灰白色手拳大の硬い腫瘤がみられたが,周囲への浸潤やリンパ節腫脹などはなく,胃切除を行った.病理組織所見は固有筋層に発生し,広範な石灰化を伴った胃平滑筋腫であった.胃外性に発育した粘膜下腫瘍の診断は困難なことが少なくない.本例は著明な石灰化を伴った稀な例であり,存在自体は容易に診断できた.診断上有意義と思われたので紹介する.
  • 工藤 育男, 川崎 雅俊, 棟方 昭博, 吉田 豊, 伝法 陽子, 江度 正, 川部 汎康, 小館 史
    1989 年 31 巻 1 号 p. 130-134_1
    発行日: 1989/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     十二指腸偽メラノーシスの2例を報告した.1例は生来健康な50歳男性で薬物の既往はない.十二指腸球部上壁に黒褐色の斑状の色素沈着を認めた.色素は粘膜固有層にあり,PAS染色,鉄染色陰性であったが,Fontana-Masson染色陽性であった.電顕ではほぼ円形のライソゾームの均一なきめの細かい高電子密度の物質として認めた.他例は83歳女性.高血圧症,貧血で降圧剤(サイアザイド,ヒドララジン,レセルピン),鉄剤を服用.十二指腸下行脚にコショウを振り撒いたように瀰漫性に黒褐色の色素沈着を認めた.生検した組織像では色素はPAS染色陰性であったが,鉄染色,Fontana-Masson染色陽性であった.電顕では不整形のライソゾーム内の電子密度の高い顆粒として認め,lipiddropletsも観察された.後者は典型的症例であるが,前者は臨床的,形態的に既報告例と異なる所見を有していた.
  • 松田 春甫, 高橋 正憲, 大見 忠, 巻口 宏平, 河合 誠, 山菅 忍, 辻 照雄, 八重樫 寛治, 神坂 和明, 前沢 秀憲
    1989 年 31 巻 1 号 p. 135-139_1
    発行日: 1989/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例1は32歳の女性.下痢と発熱で入院.大腸内視鏡および注腸X線検査で横行結腸の縦走潰瘍,また同部位の生検組織で肉芽腫を認めたため,Crohn病と診断した.ステロイドとサラゾピリンの投与で症状が軽快した.症例2は60歳.症例1の母親で,38歳時に潰瘍性大腸炎と診断され,43歳イレウス症状のため横行結腸,S状結腸吻合術を受け,さらに大量の下血のため52歳に全結腸切除術を受けた.術後経過は良好であった.2症例ともHLA検索ではBW52,DR2が陽性であった. 本邦では炎症性腸疾患の家族内発生例は少なく,とくに潰瘍性大腸炎とCrohn病の組合わせの家族内発生はまれであるので,貴重な症例と考え報告する.
  • 吉岡 昌則, 浦岡 正義, 吉野 守彦, 北本 忠, 大朏 祐治
    1989 年 31 巻 1 号 p. 140-147
    発行日: 1989/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例1は53歳,男性.黒色便のため大腸X線検査を施行したところ.回盲部近傍に径約1.5cmの平滑な粘膜下腫瘍を認め,体位変換により有茎から無茎へと変化し,空気量および圧迫の程度でも容易に形状が変化した.大腸内視鏡検査では,腫瘤は表面平滑で,周辺粘膜と同様の色調があったが,やや青みを帯びた透明感を認めた.鉗子圧迫,送気では容易に変形を認めた.以上の所見より大腸リンパ管腫と診断し,外科的に腫瘍切除をおこなった.症例2は69歳,女性.下腹部痛の精査にて,S状結腸に症例1に類似した病変を認めた.広基性で丈が低く,体位変換や送気では形状の変化はさほど見られなかったが,色調などからリンパ管腫と診断し,内視鏡的ポリペクトミーをおこなった.広基性で丈の低いリンパ管腫においては,脂肪腫との鑑別が必要であると思われたが,色調,透明感の有無,鉗子圧迫による弾性の差などが鑑別点となりうると思われた.
  • 重松 忠, 福井 和彦, 奥村 秦明, 藤:田 真司, 末永 昌宏, 立松 恵子, 春日井 達造, 西川 和久, 加藤 肇, 服部 和彦
    1989 年 31 巻 1 号 p. 148-156_1
    発行日: 1989/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     大腸の非上皮性腫瘍の中でも,リンパ管腫は極めて稀な疾患である.術前の正確な診断は困難であることが多い.しかしながら,嚢腫であるため,圧迫により容易に変形することから,他の粘膜下腫瘍との鑑別は可能であると思われる.今回われわれは大腸内視鏡検査にて嚢腫と診断した大腸リンパ管腫について報告する.症例は39歳の男性で,下痢,下腹部痛にて来院.注腸X線検査にて下行結腸の粘膜下腫瘍と診断し,大腸内視鏡検査では,圧迫による容易な変形より嚢腫と診断した.内科的加療により軽快しないため,嚢腫を含む下行結腸の部分切除術を施行.術後は症状は消失している.嚢腫は1.7×2.5×2.0cmの大きさで,隔壁を有する数個の嚢胞より成り,漿液性の内容を含み,内壁には一層の扁平な内皮細胞を認め,リンパ管腫と診断した.
  • 北台 靖彦, 岡本 一馬, 峠 誠司, 松浦 寿二郎, 伊藤 富夫, 升味 正光, 丸橋 暉
    1989 年 31 巻 1 号 p. 157-162_1
    発行日: 1989/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     内視鏡的ポリペクトミーにて摘出しえた大腸リンパ管腫の2例について,本邦報告例の文献的検討を加え報告した. 症例1は72歳男性で,全身倦怠感を主訴に来院し,注腸X線検査および内視鏡検査にてS状結腸にポリープ様陰影を認め,内視鏡的ポリペクトミーにより5×3×3mmの腫瘤を摘出した.症例2は51歳男性で,人間ドックの注腸X線検査にて上行結腸腫瘤を指摘された.大腸内視鏡検査にて,鉗子による圧迫,体位により容易に変形し,透明感を有する腫瘤を認めた.内視鏡的ポリペクトミーにより18×14×12mmの腫瘤を摘出した.組織学的には2例とも海綿状リンパ管腫であった. 本邦の大腸リンパ管腫は吉利らの報告以来,自験例を含め60例の報告がみられ,その中で内視鏡的ポリペクトミーにより摘出されたものは15例である.リンパ管腫は今までに悪性化の報告はなく,内視鏡的ポリペクトミーは本症の診断と治療において非常に有用である.
  • 折居 裕, 真口 宏介, 中沢 郁生, 有里 智志, 都丸 久, 峯本 博正, 小西 行夫, 斉藤 裕輔, 浦 等, 岡村 毅與志, 並木 ...
    1989 年 31 巻 1 号 p. 165-172_1
    発行日: 1989/01/20
    公開日: 2011/05/09
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     内視鏡的直視下生検により閉塞性大腸炎を合併する直腸子宮内膜症の確診を得た1例を経験したので報告する. 症例は35歳の女性.昭和58年11月初旬より2週間便秘が続いたあと下腹部痛と約200mlの血便をみたため当科に入院した. 大腸エックス線検査で直腸の狭窄像と下行結腸の約10cmにわたる管腔の狭小化および拇指圧痕像を認めた.内視鏡検査では肛門縁より10cmの直腸にほぼ半周を占める表面平滑な隆起性病変がみられ,下行結腸には白苔を有する潰瘍と出血性びらんが混在していた.直腸隆起部の発赤した粗縋な部位から生検し,組織学的に検索した結果,粘膜下層に子宮内膜の組織像が認められた.以上より直腸子宮内膜症とそれに続発した閉塞性大腸炎と診断した.その後Danazol療法を開始したところ,症状は速やかに軽快し現在まで下血もなく良好な経過をたどっている.
  • 辰巳 嘉英, 児玉 正, 時田 和彦, 川本 克久, 藤野 博也, 古谷 慎一, 光藤 章二, 辻 秀治, 高升 正彦, 西田 博, 布施 ...
    1989 年 31 巻 1 号 p. 173-177_1
    発行日: 1989/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     FUJINON製十二指腸ファイバースコープDU-XL3を用い,27症例1こ逆行性膵胆管造影(以下ERCP)を,総胆管結石の2症例に内視鏡的乳頭切開術(以下EST)を施行した.27例のERCP施行症例のうち胆管造影可能25例,膵髄影可能27例で,それぞれ,挿入率92.6%,100%であった.また,ESTを施行した2症例とも安全に施行でき,合併症はなかった.乳頭部の正面視の後,適正な視野内で,膵管・胆管ともカニュレーション可能であったが,特に,先端部の特別改良により,麗へのカニュレーションの際カニューレ先端が過度に視野の上部に移動してしまうことなく,適切な視野内でのカニュレーションが可倉旨であった.胆管へのカニュレーションの良好な操作性から,ERCPの検査時間の短縮に役立ち,被験者の苦痛の緩和や合併症の予防を進める点で本器種は,有効であると思われた.
  • 1989 年 31 巻 1 号 p. 178-212
    発行日: 1989/01/20
    公開日: 2011/05/09
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  • 1989 年 31 巻 1 号 p. 213-231
    発行日: 1989/01/20
    公開日: 2011/05/09
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  • 1989 年 31 巻 1 号 p. 231-242
    発行日: 1989/01/20
    公開日: 2011/05/09
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  • 1989 年 31 巻 1 号 p. 242-257
    発行日: 1989/01/20
    公開日: 2011/05/09
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  • 1989 年 31 巻 1 号 p. 257-303
    発行日: 1989/01/20
    公開日: 2011/05/09
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