日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡的ポリペクトミーを施行した大腸リンパ管腫の2例
北台 靖彦岡本 一馬峠 誠司松浦 寿二郎伊藤 富夫升味 正光丸橋 暉
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1989 年 31 巻 1 号 p. 157-162_1

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抄録
 内視鏡的ポリペクトミーにて摘出しえた大腸リンパ管腫の2例について,本邦報告例の文献的検討を加え報告した. 症例1は72歳男性で,全身倦怠感を主訴に来院し,注腸X線検査および内視鏡検査にてS状結腸にポリープ様陰影を認め,内視鏡的ポリペクトミーにより5×3×3mmの腫瘤を摘出した.症例2は51歳男性で,人間ドックの注腸X線検査にて上行結腸腫瘤を指摘された.大腸内視鏡検査にて,鉗子による圧迫,体位により容易に変形し,透明感を有する腫瘤を認めた.内視鏡的ポリペクトミーにより18×14×12mmの腫瘤を摘出した.組織学的には2例とも海綿状リンパ管腫であった. 本邦の大腸リンパ管腫は吉利らの報告以来,自験例を含め60例の報告がみられ,その中で内視鏡的ポリペクトミーにより摘出されたものは15例である.リンパ管腫は今までに悪性化の報告はなく,内視鏡的ポリペクトミーは本症の診断と治療において非常に有用である.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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