日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡的直視下生検により確診し得た閉塞性大腸炎を伴う直腸子宮内膜症の1例
折居 裕真口 宏介中沢 郁生有里 智志都丸 久峯本 博正小西 行夫斉藤 裕輔浦 等岡村 毅與志並木 正義
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1989 年 31 巻 1 号 p. 165-172_1

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抄録
 内視鏡的直視下生検により閉塞性大腸炎を合併する直腸子宮内膜症の確診を得た1例を経験したので報告する. 症例は35歳の女性.昭和58年11月初旬より2週間便秘が続いたあと下腹部痛と約200mlの血便をみたため当科に入院した. 大腸エックス線検査で直腸の狭窄像と下行結腸の約10cmにわたる管腔の狭小化および拇指圧痕像を認めた.内視鏡検査では肛門縁より10cmの直腸にほぼ半周を占める表面平滑な隆起性病変がみられ,下行結腸には白苔を有する潰瘍と出血性びらんが混在していた.直腸隆起部の発赤した粗縋な部位から生検し,組織学的に検索した結果,粘膜下層に子宮内膜の組織像が認められた.以上より直腸子宮内膜症とそれに続発した閉塞性大腸炎と診断した.その後Danazol療法を開始したところ,症状は速やかに軽快し現在まで下血もなく良好な経過をたどっている.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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