日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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sm micro invasionの切除標本およびstrip biopsyを用いた検討
苅田 幹夫多田 正弘柳井 秀雄重枝 正樹河内山 高史村上 敦司竹本 忠良児玉 隆浩
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1989 年 31 巻 1 号 p. 26-34

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抄録
 1983~1988年までに,stripbiopsyが施行された早期胃癌159症例および1965~1988年までに手術が施行された1,042例の早期胃癌の検討の結果,sm層に数腺管の浸潤をみとめたsm癌は,合計で,21例であった.そして,これらの肉眼分類は,1型が5個,IIa型が4個,IIa+IIcが3個,IIcが6個,IIc+IIIおよびIIc(+III)が3個でとくに,肉眼型に特徴はなかった.と同時に,病変の最大径の範囲は,7mm~60mmで,大きさにおいても特徴的な所見はなかった.しかし,stripbiopsyにより得られた実体顕微鏡像と組織所見の対比により,IIa型においては,表面に,局所的なわずかな陥凹が,1型の場合は,表面の広範なびらんが,IIc型およびIIc+III型の場合は,ウェーブ様のIIc面がsm層へのわずかな癌腺管の浸潤を示唆する所見であることが推察された.また,上記のsm層への微小浸潤癌の切除例14例は,リンパ節転移もなく,stripbiopsy例を含めた計21例の予後は,1例を除き,最長5年11カ月のfollow upを行っているが,現時点において全例健在であり,死亡例1例も胃癌による直接死とは考えにくいことから,その予後は,高分化型あるいは,中分化型の粘膜癌に準ずるものであることが予測された.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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