日本消化器内視鏡学会雑誌
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Campylobacter pyloriの胃疾患における臨床的検討
河内山 高史
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1989 年 31 巻 1 号 p. 3-13

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抄録
 Campylobacter pyloriの胃粘膜障害性を明らかにするために慢性胃炎・消化性潰瘍患者を対象に胃粘膜よりC.pyloriの検出を行うとともに,簡易的定量法を開発し胃疾患との関連性を検討した.また, C.pyloriの存在により増加すると考えられる胃液中アンモニアの,胃粘膜に与える影響について検討した. その結果,疾患別には十二指腸潰瘍に高い検出率を認め,またC.pyloriの検出される症例では,胃各部位に検出される傾向にあった.さらに,内視鏡的Congo red法を施行しC.pyloriの菌量を測定した結果, closed typeでは胃前庭部に,open typeでは有意に胃体部に多く,C.pyloriの存在は,萎縮性胃炎の程度と関係していると考えられた. C.pylori positiveの症例では,negativeの症例にくらべて胃液中アンモニア濃度が有意に高かった.また,positiveの症例で胃内に認められた0.02%アンモニア濃度でnegativeの症例に胃内負荷を行うと,炎症細胞浸潤の増加と胃粘膜血流の低下を認めた.これらの結果より,C.pyloriの存在により増加すると考えられる胃内アンモニアにより,胃炎の生じる可能性が示唆された.
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