日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡的大腸ポリペクトミーfollow up症例の検討
―ポリペクトミーは癌発生の予防になりうるか―
岡本 平次佐々木 哲二
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1989 年 31 巻 1 号 p. 76-82

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抄録
 内視鏡的ポリープ切除が終了した症例394名(男293名,女101名)を大腸内視鏡検査でfollow upを行い,再発見された腫瘍性ポリープの分布や性状を検討した.ポリペク群の腫瘍性ポリープ総数は394例708個で,follow up群は,178例252個であった.つまりポリープ再発見率は45.2%とかなり高値であったが,ポリープ総数そのものは708個から,252個と著明に減少した.ポリペク群708個の分布は,直腸,S状結腸の下部大腸に370個,52.4%と多発していた.一方,follow up群252個は好発部位はなく,各部位にほぼ均等に分布し,小さなサイズが大部分を占めた(5mm以下68.7%,6mm以下88.9%).follow up中に全くポリープが見られなかったのは216名,最終的に認められなくなったのは47名であった.つまり263例,66.8%にポリープの完全消失を見た.以上の結果よりポリペクトミーの導入は,follow up中に発見された腫瘍性ポリープの総数,解剖的分布,大きさに大きな影響を及ぼし,66.8%の症例には完全消失をきたしている.従ってポリペクトミーは癌を含めた大腸隆起性病変発生の予防および根治が可能であろう.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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