日本消化器内視鏡学会雑誌
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アメーバ性大腸炎
―自験24例の臨床的検討―
大川 清孝北野 厚生小畠 昭重福島 龍二岡部 弘加島 和俊中村 志郎押谷 伸英橋村 秀親日置 正人松本 誉之小林 絢三
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1989 年 31 巻 1 号 p. 65-75

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抄録
 過去7年4カ月の間に24例のアメーバ性大腸炎を経験し,その臨床的検討を行い以下の結論を得た.1.1980年以前は1例も経験しておらず,近年急激な増加傾向がみられた.2.男性が87.5%,海外渡航歴が25%,男性同性愛者が25%,TPHA陽性が29%であることより,本症の感染の一部は男性同性愛者の性行為と密接な関係があることが疑われた.3.好発部位は直腸であり88%に病変がみられた.また,広範囲罹患例では病変がskipする傾向がみられた.4.最も特徴的な内視鏡像は,タコイボ所見と紅暈を持つ潰瘍またはびらんであった.5.好発部位,内視鏡像などより本症と最も鑑別を要する疾患は潰瘍性大腸炎であった.本症においてsalicylazosulfapyridine,副腎皮質ホルモンで一時軽快する症例がみられることは,治療による潰瘍性大腸炎診断の危険性を示唆していた.6.本症の診断はまず内視鏡像より本症を疑うことが最も重要であり,確定診断には生検と免疫学的血清反応の組み合わせが最も簡便で有効な方法と考えられた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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