日本消化器内視鏡学会雑誌
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胃静脈瘤の内視鏡的検討
―特に占居部位の意義について―
日野 真一隆 元英五十嵐 正彦
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1989 年 31 巻 10 号 p. 2627-2632_1

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抄録

 門脈圧亢進症214例および健常者50例を対象とし,胃静脈瘤の内視鏡的検討を行った.噴門部および噴門直下小彎(噴門部,Lc)では静脈を認めれば静脈瘤と判定し,穹窿部(Lf)では径3mmを超える静脈を静脈瘤と判定した.これにより,門脈圧亢進症の50.5%に胃静脈瘤を認めた(Lc静脈瘤を有する例は40.2%,Lf静脈瘤例25.7%).Lc静脈瘤は食道静脈瘤を有する例にのみ認められ,Lc静脈瘤症例の87.2%にF2以上の食道静脈瘤が認められた.Lc静脈瘤上に発赤,白苔,出血を認めた例では,食道静脈瘤にもR=Csignを認めることが有意に多かった.また,内視鏡的食道静脈瘤硬化療法により食道静脈瘤の著明改善が認められた例では,Lc静脈瘤の改善も認められた例が有意に多かった.以上より,Lc静脈瘤は食道静脈瘤と密接な関係を有すると考えられた.Lf静脈瘤は食道静脈瘤との関係が乏しかった.

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