日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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内視鏡検査後に発症したAGML症例の検討
―内視鏡検査後早期発症例と後期発症例の比較検討―
渥美 正英高升 正彦胡井 智伊勢谷 和史小原 尚之小笠原 宏行高顕 純平高祖 均赤木 博布施 好信児玉 正加嶋 敬
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1989 年 31 巻 10 号 p. 2633-2638_1

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抄録
 われわれは最近5年間に延べ約49,200回の胃内視鏡検査を施行し,検査後明らかな誘因なく急性胃粘膜病変(AGML)あるいは急性胃・十二指腸粘膜病変(AGDML)の発症をみた症例を15例(0.03%)経験した.年齢は30歳から61歳で平均49.7歳,性別は男性11例,女性4例であった.病変部位では前庭部が最も多く,ついで十二指腸球部であった.初回内視鏡検査後に発症した例がほとんどで,検査時の内視鏡所見では,びらん性胃炎が最も多かった.内視鏡検査後より発症までの期間は1日から8日で平均5.0日であった.このうち検査後24時間以内に発症した2症例は自覚症状が軽度で病変は胃体部から穹窿部にかけてみられたが,それ以外の症例は3日目以降に強い心窩部痛や嘔吐にて発症し前庭部や十二指腸球部を中心に病変がみられており,内視鏡検査後のAG(D)MLには臨床的に異なる2種類の病態が存在する可能性が示唆された.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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