日本消化器内視鏡学会雑誌
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胃静脈瘤の内視鏡的治療法の評価
芦田 寛琴浦 義尚青木 郁二高木 一光福田 正春西岡 昭彦石川 羊男宇都宮 譲二
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1989 年 31 巻 10 号 p. 2641-2646_1

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抄録
 教室の胃静脈瘤症例10例の治療成績より,胃静脈瘤に対する治療法を検討した.急性出血を認めた4例に対し,内視鏡的硬化療法で2例,経皮経肝的静脈瘤塞栓術で1例,脾動脈塞栓術で1例に止血を試みたが,硬化療法の1例のみ止血可能であった(後にHassab手術を付加).止血不能2例に対しては緊急手術で止血しえたが,術後早期に肝不全で失い,現在生存中は1例である.残り6例のうち,4例に対しては待期的手術療法で,1例は待期的硬化療法で対処し,1例は未出血で経過観察中である.再出血を手術療法と硬化療法に1例ずつ認めた.現在生存中は手術療法症例2例と未出血の1例である.硬化療法有効例の腹部血管造影の検討より,胃腎短絡路を有さない胃静脈瘤症例に対する硬化療法は効果が期待できるが,現時点では手術療法(Hassab手術)が胃静脈瘤症例に対する適切な治療法といえる.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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