日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡的に止血しえた異時性,重複Dieulafoy潰瘍の1例
谷口 英人小泉 浩一山本 仁志中島 幸裕星野 清志菊地 直人梅谷 薫中村 正樹上野 秀雄木村 佳苗
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1989 年 31 巻 10 号 p. 2677-2680_1

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抄録
 54歳男性,昭和63年11月11日吐下血を主訴に当院へ緊急入院した.入院時緊急内視鏡検査にて穹窿部に露出血管を認めDieulafoy潰瘍と診断しHS-Eによる内視鏡的止血術を施行し止血した.その時点では胃角には何ら病変も認めなかった.11月14日嘔気,気分不快とともに血圧60/30mmHgと患者はショック状態となり再度緊急内視鏡を施行したところ穹窿部の病変からの出血はなく,胃角部に血液の湧出する露出血管を認め,Dieulafoy潰瘍と診断し再度HS-Eによる止血術を施行.以後止血術を繰り返し永久止血となった.本例のように同時期に穹窿部と胃角にDieulafoy潰瘍を認めた例はこれまで報告がない.また重複Dieulafoy潰瘍が異時性に出血を認めたこと,またDieulafoy潰瘍の発生する直前の胃粘膜を観察できたことは非常に興味深いと考え報告するとともに,本症に対するHS-Eによる内視鏡的止血術の有用性を強調した.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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