日本消化器内視鏡学会雑誌
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直腸鏡を用いた大腸超音波断層法の開発と臨床応用
石川 秀樹今西 清竜田 正晴大谷 透奥田 茂
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1989 年 31 巻 12 号 p. 3248-3252_1

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抄録

 われわれは従来,超音波画像を充分に得ることが困難であった直腸に対する超音波検査法として,直腸鏡を用いた大腸超音波内視鏡装置を新たに開発した.直腸鏡(ユフ精器,20mm×20cm)を用い内視鏡観察後,病巣の口側端にて直腸鏡を固定し,ピストル型体腔内用スキャナ(アロカ,7.5MHz)を直腸鏡内に挿入し,パッキングで密封する.脱気水150mlを直腸鏡送気孔より直腸内に注入し,超音波スキャナを管腔の中心に位置するように導き,直腸鏡を抜去しつつ超音波画像を観察,撮影する.本法では注入する脱気水の量を容易に短時間で調節できるため,管腔を適切に拡張させることができ,強く屈曲した腸管でも充分な観察が可能であり,患者の負担も軽微であった.通常,正常直腸壁は5層構造として観察でき,5層構造の変化より癌の深達度診断が可能で直腸癌26例に対し21例(80.8%)で正診が得られた.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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