日本消化器内視鏡学会雑誌
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ISSN-L : 0387-1207
胃神経線維腫の1例
―神経線維腫と神経鞘腫の鑑別を中心に―
菅井 有千葉 ゆかり高山 和夫狩野 敦向井田 英明中村 義明菅原 光宏折居 正之藤巻 英二佐藤 邦夫佐藤 俊一小野寺 健一
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1989 年 31 巻 12 号 p. 3253-3258_1

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抄録
 43歳の女性で,集団検診の際に胃の異常を指摘され,また心窩部不快感もみられたため川久保病院を受診し入院となった. 上部消化管造影及び内視鏡検査で胃体下部大彎側に表面周囲粘膜と色調の差のない,立ち上がり比較的なだらかな隆起性病変を認める.潰瘍性変化は伴っていない.直視下生検では腫瘍性病変を検出されなかったためエタナール局注療法を施行したが,やはり腫瘍性病変はえられなかった.粘膜下腫瘍の診断のもとに腫瘤核出術を施行した. 腫瘤は粘膜下層及び筋層にみられ,被膜はみられないが比較的よく限局している. 組織学的には,紡錘形細胞が不規則に交錯しながら波状に増殖している.間質にはAlcian blue陽性の粘液がみられる.腫瘍の中央には外傷性神経腫に類似する肥大した神経束が認められる. 従来の報告例の中には神経鞘腫と混同されている傾向があり,神経線維腫と神経鞘腫は区別されなくてはならない.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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