日本消化器内視鏡学会雑誌
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慢性リンパ性白血病にて長期経過観察中に発症した非特異性小腸潰瘍の1例
滝内 比呂也斎藤 治鄭 鳳鉉芦田 潔平田 一郎大藪 博陰山 克大柴 三郎岡島 邦雄
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1989 年 31 巻 12 号 p. 3304-3311

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抄録
 症例は52歳,女性で慢性リンパ性白血病でステロイド治療中の外来患者である.嘔気・嘔吐を訴え小腸X線検査にてTreitz靱帯近傍の上部空腸に近接した両側性の2カ所の狭窄部を認め,狭窄部に一致して潰瘍性病変の存在が疑われ入院した.小腸内視鏡所見では,高度(肛門側)狭窄部の口側に浅い潰瘍がみられた.同部の生検からは確診は得られなかった.約2カ月間抗結核療法,高カロリ._栄養療法を行うも小腸狭窄の改善がみられず,外科的に部分切除を行った.切除標本肉眼所見では,高度狭窄部に一致して帯状に多発の瘢痕部が認められ,狭窄部の口側及び肛門側にも潰瘍瘢痕が複数存在していた.組織学的には確診は得られず,非特異性小腸潰瘍と診断した.非特異性小腸潰瘍の病因は不明であるが幾つかの因子の関与が考えられ,本症例においても種々の病因の検討を行った.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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