日本消化器内視鏡学会雑誌
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回腸及び上行結腸にFistulaを形成した粘液産生性遺残虫垂癌の1例
佐々木 英豊永 純中島 裕居石 哲治神田 和久松尾 義人松隈 則人有馬 信之光山 慶一鶴田 修池田 英雄周山 秀昭谷川 久一白水 和雄磯本 浩晴安元 真武
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1989 年 31 巻 12 号 p. 3316-3323

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抄録

 虫垂原発の癌は比較的まれである.今回われわれは,虫垂切除後に虫垂根部ないし開口部近傍粘膜より発生したと思われる粘液産生性の腺癌が,上行結腸中部と回腸末端にfistulaを形成し診断困難であった症例を経験したので文献的考察も加えて報告する. 症例は53歳女性,右下腹部痛を主訴として入院.入院時右下腹部の腫瘤を認め,大腸X線検査,大腸内視鏡検査にて上行結腸の全周性狭窄,Computer Tomography像にて腸管壁肥厚を認めた.術前には腸管外の腸間膜脂肪織炎などの炎症性腫瘤を考えた.しかし手術所見では,腹腔内にムチン散布を認め,盲腸後側虫垂切除部に一致して腫瘤を認めた.組織学的には,虫垂根部ないし虫垂開口部附近粘膜より発生した粘液産生性の癌で上行結腸中部と回腸に炎症性のfistula形成を認めた.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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