抄録
近年,Campylobacter pylori(CP)と消化管病変との関連が注目されているが,その詳細については不明な部分が多い.一方,粘膜防御因子の一つである粘膜ムチン層の変化は胃病変の発生と密接に関連すると考えられている.そこで前庭部,体部の胃粘膜生検組織を用い,粘膜内PAS-AB陽性物質をコンピュータ画像解析し,CP感染との関連について検討した.その結果,胃体部腺領域ではCP陽性例と陰性例の間では粘膜内PAS-AB陽性物質量には有意差を認めなかったが,胃幽門腺領域ではCP陽性例は陰性例に比し粘膜内PAS陽性物質量は有意に少なかった.以上の結果から,Campylobacter pylori感染による胃粘膜内PAS-AB陽性物質に対する影響は幽門腺領域と体部腺領域では異なり,CP感染は特に幽門腺領域の粘膜防御機構の低下を惹起することを示唆する結果を得た.