抄録
Retrospectiveにみた発育の速い癌と遅い癌の特徴を明かにするために1年以上経過を観察したスキルスを除く63例(早期癌33例,進行癌30例)について臨床病理学的に検討した.その結果:1)早期胃癌ではIIa型とIIc(ul+)は発育が遅かった.進行癌ではBorrmann1型とBorrmann2型の限局型進行癌は発育の速い癌と考えられた.2)潰瘍性変化を伴わない病変(ul(-))はそれを伴う病変(ul(+))に比較して速く進行癌に発育した.3)進行癌の手術例19例の病理学的検索で,発育の速かった癌は,ulの程度が浅く,癌周囲の線維化が少なく,癌が深層へ連続して浸潤していた.