1989 年 31 巻 4 号 p. 896-904_1
電子内視鏡の持つ特性を探るため,胃ポリープを主な対象として,粘膜表面構造のパターン抽出,抽出されたパターンの定量化の2点について電子内視鏡像の画像処理に関する検討を行った.使用した電子内視鏡はOlympus社製videoimage endoscope GIF Type V10Zである. 粘膜表面構造パターンの抽出には,Green成分画像を対象としたマトリックスサイズ21×21の2次微分処理法が最も有効であった.抽出したパターンの定量化には,各パターンの面積算出と分岐点算出を行いヒストグラムと疑似カラー画像として表現したが,理解しやすい結果は得られずさらに検討を重ねる必要がある. 電子スコープはルーチン操作で容易に粘膜微細模様像の観察が可能であり,画像処理法を組み合わせることにより,従来の拡大内視鏡検査法に変わりうるより客観的な微細診断法となるものと思われた.今後さらに,微細病変抽出のための画像処理アルゴリズムの開発や抽出した粘膜像異常バターンによる病変診断などを可能にしたいと考えている.