日本消化器内視鏡学会雑誌
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超音波内視鏡による胃癌深達度診断に関する臨床病理学的研究―陥凹型胃癌を中心に―
木田 光広西元寺 克礼岡部 治弥
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1989 年 31 巻 5 号 p. 1141-1155

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抄録
IIc+III,IIc+(III)型早期癌43例(m癌23例,sm癌20例),IIc+III,IIc類似進行癌22例(pm癌10例,sss癌12例)を対象として癌浸潤と潰瘍に伴う線維化につき病理組織学的に検討した.さらに,これらの検討結果に基ずくパターンによる癌浸潤と潰瘍に伴う線維化の鑑別につき超音波内視鏡を施行した臨床例で検討した.潰瘍合併早期癌群の深達度診断正診率は78.4%(29/37例)と非合併早期癌群の88.9%(64/72例)に近い成績が得られ,さらに早期類似進行癌群においても76.2%(16/21例)の正診率であり,本パターンにより癌浸潤と潰瘍に伴う線維化の鑑別がある程度可能と考えられた.しかし線維化内あるいは線維化の辺縁への微小浸潤例は誤診され,現時点でのこれらの正診は困難と考えられた.前壁70.6%(24/34例),胃角78.0%(32/41例)の病変の正診率が他と比較して不良であった.4cm以上6cm未満の病変の正診率が77.5%(31/40例)と最も不良であり病変全体の充分な走査が必要と考えられた.誤診例,および小浸潤描出正診例の検討により,現時点での超音波内視鏡の臨床上の描出能の限界は3×2mm前後と考えられた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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