日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡的ポリペクトミー後の経過観察からみた大腸腫瘍性ポリープの見逃し,再発例の検討
岡本 平次佐々木 哲二佐竹 儀治坪水 義夫藤田 力也
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1989 年 31 巻 5 号 p. 1241-1246

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抄録
 ポリペクトミー終了後の追跡大腸内視鏡検査で最大径が10mm以上または1年以内に7mm以上の腫瘍性ポリープが再発見された場合を大腸ポリープ「見逃し」例と定義した.最近6年間で腫瘍性ポリープ「見逃し」例は394例中20症例(20個)5.1%に認められた.20個の内訳は大きさは7~9mm13個,10mm以上7個であり,形態は無茎性10個,亜有茎性4個,有茎性3個,平坦型3個であった.また「見逃し」部位は右側結腸10個,横行結腸3個,下行結腸2個,S状結腸5個,直腸1個であった.特に肝彎曲部から右側結腸にかけては13個,65%もポリープが見逃されており,早期癌(m癌3例,sm癌2例)が5例も含まれていたのは注目される.腫瘍性ポリープ局所再発は6例に見られたが,4例はピースミールポリペクトミー症例であり,病理組織学的に全例絨毛成分が含まれていた.ポリープの「見逃し」は常に起こりうる可能性があり,ポリペクトミー後の患者は腫瘍性ポリープの「新生」,「再発」の問題もあり,厳重な大腸内視鏡検査でのフォローアップがなされるべきであろう.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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