日本消化器内視鏡学会雑誌
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胃潰瘍治癒過程における内因性プロスタグランディンの検討
朝倉 均三浦 総一郎渡辺 憲明田中 伸渡辺 守岩男 泰浜田 慶城森田 證陶山 匡一郎土屋 雅春
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1989 年 31 巻 6 号 p. 1464-1470

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抄録

胃潰瘍治癒過程における内因性プロスタグランディン(PG)の役割を検討するため,H2プロッカー単独投与群と胃粘膜内因性PGを増加させるsofalcone併用投与群で対比検討した.対象は胃体中下部や胃角部の胃潰瘍症例17例で,直視型上部消化管内視鏡下で胃潰瘍辺縁粘膜および瘢痕粘膜から鉗子生検し,直ちに液体N2下で凍結保存した。この粘膜からPGをインドメサシン存在下で抽出し,Bondミニカラムを用いて分離これをradioimmunoassay kitでPGE2およびI2の代謝産物6-keto PGF1αを測定した。胃潰瘍活動期群およびH、プロッカー単独投与群の胃粘膜内PGE2や6-ketoPGF、αの量は対照と有意の差はないが,sofalcone併用投与群では対照群やH2プロッカー単独投与群より有意に増加していた.単独投与群と併用投与群の胃潰瘍瘢痕粘膜中に占めるPAS染色陽性面積比率には有意差はないが,粘膜内PGE2量とは有意の相関があった.以上より,胃潰瘍治癒過程に粘膜中の内因性PGの関与が示唆された.

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