日本消化器内視鏡学会雑誌
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超音波内視鏡による陥凹型早期胃癌の深達度診断―潰瘍合併例を中心に―
大橋 信治中澤 三郎芳野 純治
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1989 年 31 巻 6 号 p. 1471-1479

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抄録

陥凹型早期胃癌73例のEUS像について深達度を検討した.病変部での各層の形状変化によりエコーパターンを検討した.エコー像の変化が,病理学的に癌が浸潤する胃壁層より深い層に及ぶ例は,癌巣内に潰瘍を合併し,これに伴う線維化巣を有していた.これらに特徴的なエコー像は,粘膜下層内の扇状を呈する線維化巣を反映したTypeII-1と,開放性潰瘍を合併し,線維化巣がこの部に限局してTypeII-2と認識される型と,第4層以深にまで変化を認め,良性潰瘍,多くはUl-IIIsあるいはUl-IVsとほぼ同様の線維化巣・筋層融合を反映したTypeULであった.一方,病変部の第3層において,変化を認めないTypeI,:扇状を呈さず全体として不明瞭な低エコー領域を認めるTypeII-3,境界明瞭な低エコー領域を認めるTypeIIIでは,潰瘍合併の有無によらず,層構造の変化を捉えることでほぼ正確に深達度診断できた.

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